本で出逢った名言・名セリフ

勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。

正義と微笑 より

そのセリフに感銘を受けた理由

本を読んでもいつまでも心に残る文章っていうのはあまりないのですが、太宰のこの文章はいつまでも心に残っています。勉強せよという言葉へ、反発していた青春時代に一つの答えを与えてくれたような気がします。

これは退職していく先生が生徒（主人公）に別れのあいさつにでてくる一説で、前後にもう少し続きます。覚えた知識を直接生活に役立てようなどと思わず、勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残ると説きます。勉強して有利な学歴で就職などというのとは別次元です。勉強せよと言われ、悶々とした反抗心でいっぱいであった頃の心情も懐かしいですが、年を経て今読み返しても、妙に説得力のある文章です。

ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ！と先生は去っていきます。

回答者：50代 男性