愛人と喧嘩しながらも作家としての観察眼は働いています | 読むと旅に出かけたくなる本


愛人と喧嘩しながらも作家としての観察眼は働いています

「湿った空乾いた空」(吉行淳之介) より

吉行淳之介と宮城まり子が愛人関係にあったのは有名ですが、この本は二人が世界旅行をした時の記録。出不精の吉行を宮城まり子が無理やり海外に引っ張り出したそうで、道中の喧嘩ぶりや仲直りの様子が赤裸々に書かれています。

読んでいて思わずゆきたくなるのは、二人がまず最初に着いたラスベガス。当然、そこのカジノでギャンブルをするのですが、賭博について語る吉行淳之介の筆致が落ち着いていて、読んでいて思わず興味津々です。結局はクラップスに熱中、それを咎めた宮城と大喧嘩になったりして、その苦労ぶりは男として大いに同情を誘います。

吉行淳之介はその後マンガ家の福地泡介と一緒にラスベガスを再訪したようですが、この時も同伴者の福地泡介が癖のある人物で、吉行淳之介というのは本当に付き合いのいい人だなと感心してしまいます。

回答者:50代 男性


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