走り出せ、垣本順子。 ―あたしはとっくに走り出してる。 あんたこそ、走れ。 ―いつまでも停まってるんじゃないよ。駅は長居… | 本で出逢った感動の名言

小暮写眞館(上) (講談社文庫)
著者: 宮部 みゆき
ISBN:4062776731 / 発売日:2013-10-16
出版社.: 講談社

本で出逢った名言・名セリフ

走り出せ、垣本順子。 ―あたしはとっくに走り出してる。 あんたこそ、走れ。 ―いつまでも停まってるんじゃないよ。駅は長居する場所じゃない。 走り出せ、花菱英一。

木暮写真館 より

そのセリフに感銘を受けた理由

家族を亡くした辛い経験がありながらも、家族を思いやりながら暮らしている英一は、どこか謎のある年上の女性垣本順子が気に掛かります。そして高校1年生らしい純粋で不器用な表現と行動で不安定な彼女の力になろうとします。

英一との距離を少しずつ近づけていく順子ですが、ある日何も言わずに英一の前から姿を消してしまいます。でもそれは彼女を縛る「過去」からの逃避ではなく新しい「今」と「未来」を見つける為の出発であることを英一は信じています。数年後大学生になった英一に順子から届いた手紙には、満開の桜が咲く何処かの駅と電車の写真が一枚だけ入っていました。

それはかつて「正面から電車を見てみたい」と言う彼女に渡したファイルの中にあった場所のひとつでした。英一と順子が愛や恋とは違う、ささやかながら人生の中で一番大切な気持ちを確認できた事を感じさせる言葉です。

回答者:50代 女性

小暮写眞館(上) (講談社文庫)
著者: 宮部 みゆき
ISBN:4062776731 / 発売日:2013-10-16
出版社.: 講談社

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