限界集落の農村を救った企画 | [書評]ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?


65歳以上の住民が半数を超える限界集落、神子原地区。石川県は羽咋市にあるこの過疎の農村を救ったのは、一人の公務員だった。

羽咋市役所に勤務する地方公務員、高野誠鮮氏は、市長から神子原地区の活性化プロジェクトを任された。彼は様々なアイデアを駆使して村おこしを推し進め、ついには神子原地区の米をローマ法王にまで食べてもらう事に成功した。高野氏は村おこしの過程で、今まで慣例とされていた事を次々と無視し、変革を推し進めていった。

今回は高野氏が如何にして村おこしを成功させたのか、その方法の一部を紹介したいと思う。

事後報告、会議をしない、企画書はたった一枚

お役所仕事の欠点として良く言われる事を高野氏は次々と無視していく。大規模なプロジェクトとなれば通常何回も会議を重ねる所を、全く会議をせずに独断で推し進める。

計画書も何百ページという分厚いものは作らず、村おこしの5か年計画を書いたA3用紙一枚だけ。そして何か行動を起こす際には一切上司に相談せず、事後報告だけする、といった具合である。

何千回会議をしたら村は変わるんですか?
会議をしているだけでいい仕事をしたと勘違いしちゃってるんじゃないですか?

そう、重要なのは細かな計画では無く、とにかく行動する事。行動無くしては何も変わらないのである。

失敗を恐れず挑戦し続ける

高野氏は村おこしの過程で何度も失敗を経験する。

例えば神子原地区の米をブランド化するために、天皇陛下の食事に神子原の米を出してもらおうと宮内庁に掛け合うが、敢え無く失敗してしまう。しかし氏は何度失敗しようとも諦めず、次のアイデアを練り、実行に移す。いつか成功するためには失敗を恐れずチャレンジを繰り返さなければならないというのが氏の持論だ。そんな氏の考えを象徴する一言を抜粋しよう。

「何回も失敗しましょうよ。失敗しない限り、うまくいきませんよ。」

とにかく行動を起こし、何度失敗しようともチャレンジし続ける事で、高野氏は若者の集落への呼び込みや農産物のブランド化を成功させ、神子原地区を限界集落から活気溢れる農村へと変えた。

この本を読んで気付かされるのは、成功するために重要なのは細かな知識や綿密な計画ではなく、チャンスがあると思ったらとにかくやってみるのが一番大事だという事である。何度失敗しても諦めず挑戦し続ける諦めない心が成功を呼び込むのだ。

ここまで読んで関心を持って頂けたなら、是非本書を手にとって、高野氏の仕事に対する向き合い方や考え方を知って欲しい。きっとあなたの日々の仕事に役立つヒントを得られる筈だ。


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