「神カル」ワールドの原点 | [書評]神様のカルテ0

神様のカルテ0
著者: 夏川 草介
ISBN:4093864047 / 発売日:2015-02-24
出版社.: 小学館

「神様のカルテ」シリーズの前日譚

“0”のタイトルが付いていることから推察されるように、神様のカルテ3部冊の序章とも言えるものです。神様のカルテを全く読んでいない方でも読めますが、最低限神様のカルテ1巻は読んでおいた方が良いです。3冊全部読んでおくのがベストです。

念のため復習

神様のカルテは、2010年に本屋大賞で2位になった作品で、櫻井翔さんと宮崎あおいさんの主演で1、2作が映画化されています。

主人公は内科医として過酷な勤務を強いられる栗原一止(イチさん)で、勤務先の本庄病院と住み家の御嶽荘がほとんどの舞台です。一止の妻で山岳写真家の榛名(ハル)が、ポイント、ポイントでこの物語をホッとさせてくれます。

個人的には、本を読んでいて、一止に櫻井翔さんは疑問符なのですが、榛名には宮崎あおいさんしか思い浮かばないです。

”0”の概要

本書は、4つの短編集です。

有明:
医学部最終年の6年生時代を描いています。「神様のカルテ」1作目以降で登場する一止の同僚や友達との関係が描かれています。

彼岸過ぎまで:
本庄病院を「24時間365日」にした金山事務長について書かれています。

神様のカルテ:
一止の本庄病院での研修医時代が描かれています。「神様のカルテ」の意味がこの編でわかります。

冬山記:
一止と結婚する前、冬の北アルプスで榛名が遭遇する出来事について書かれています。

”0”の必要性

本書がなくとも「神様のカルテ」は3部作で完全に仕上がっています。しかし、ファンであれば、さらにいろいろなことを知りたくなるわけで、一止の学生時代の話とか、研修中の話とか、ハルについてとかです。私が、一番気に入っているのは、「彼岸過ぎまで」です。病院経営にしか興味がなさそうな事務長の本当の思いがわかります。

最後に

まだ「神様のカルテ」3作を読んでいない方は、本書を読む前に読まれた方が良いと思います。つまり、出版順に読むわけです。本書は、「神様のカルテ」3作を読んだ方を想定しているように思えます。

神様のカルテ0
著者: 夏川 草介
ISBN:4093864047 / 発売日:2015-02-24
出版社.: 小学館

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