なぜ、詰め込み教育をする時代は終わったのか | [書評]親が反対しても、子どもはやる―新・家族論


21世紀を生きる為の子育て

この本には、これからの子育てについて、大前研一氏が独特の視点と経験で描かれています。コンサルタントとしてはもちろん、数奇でユニークな生き方をしてきた大前氏が自分の生きてきた人生も踏まえて家族とどう接しているかが面白おかしく書いてあります。

特に、学校教育に関しての言及や、テレビゲームに対する考え方、専門家として生きていく時代が終わったなど大変興味深い内容になっています。

人としての関わり

彼女がハブ・ア・グッドタイムだったらいいじゃないですか

これは大前氏の妻に対する観方で、この言葉に関わり方が詰まっていると感じます。子供にせよ妻にせよ、それぞれの立場のそれぞれの人生や役割があるのだから、自分の都合だけを押し付けるのではなく、それぞれの立場があるからそれぞれの立場でバランスを取っていくことが家族というチームとしての必要なところだと教えてくれます。

自分が家に帰った時に奥さんがいなくても、それは奥さんにも都合があるという理解を基に自分でご飯を作るなど当たり前のことを当たり前に行う。そんな大前家のやり取りが垣間見えます。普段からとことん家族と話し合い対話を行うことで、問題点を共有し、生活を送っていく。そんな当たり前のことがこれからの家族生活にとって大事なことなんじゃないかと考えさせられました。

今の若い世代へ

巻末に学生さんとの対話式インタビューのようなものがあります。その中で、本当に若い方がどうしたらいいかわからないと大前氏に問いかけています。そもそも、こんなにたくさんのもの事が溢れている時代で自分の好きなことが分からないということ自体が大きな問題点として取り上げています。

既存のものから選ぶことに慣れすぎていて新しいものを自分で作って仕事としてしまうという観点が全くないことに日本への不安を書いています。学校教育は教育ではなく訓練。それにいち早く気づいて無駄な時間や知識を詰め込む時代は終わったと解説しています。

そう言った部分も含めて、どの年齢層にもお勧めできる一冊です。


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