SNSと炎上、切っても切り離せない関係に迫った一冊 | [書評]ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」


Twitterはなぜ炎上するのか?

数あるSNSの中でも、取り分け炎上しやすいのがTwitterと言われています。140字という決して多くはない文字数で、何気ない呟きや意見がたちまち拡散し、炎上の火種になってしまうケースは少なくありません。

炎上というのは、コンテンツを発信する側によほどの問題がない限り、大体は閲覧している第三者が原因です。世の中には実に様々な人がいて、現実世界で持て余したフラストレーションを発散させるために、常にネット上で「叩ける」相手を探している奇特な人が一定層存在しますよね。

そして匿名という安全な環境を利用し、対象を集団でとことん追い詰める。よほどのことがない限り犯人は特定されませんから、安全圏から気にくわない意見を批難するという何とも恐ろしいシステムができあがる訳です。現実世界のいじめ以上に攻撃する側の罪悪感が軽いことが、炎上が起こりやすくなっている原因だと思います。

インターネットは良くも悪くも平等な世界

そもそも現実ではできないようなことが、なぜネットでは簡単にできてしまうのでしょうか?

ネットは基本匿名であり、芸能人相手だろうと政治家相手だろうと言いたい事を言える、良くも悪くも平等な世界ができあがっています。自分の経歴をいくらでも盛ることができますし、逆にやんごとなき人たちが身分を隠して言いたいことが言えるということです。

そこで発生してしまうのが、有名な人や自分と違う思想の持ち主の意見を叩くという行為です。

本来、人を批判するには自分が反論されることを前提としているべきはずだ。しかしネットでは、それが不要なのだ。叩くのに都合の良い「今そこに書かれた内容」だけを題材に、他のソースにあたることもなく、ひたすら口汚く罵倒をする。罵倒された側はどこの誰かも分からない人間に対してどう反論して良いのかも分からないので泣き寝入りをする。

私自身、本来雲の上の存在である芸能人や文化人が炎上してユーザーとモメる、もしくはSNS自体を辞めてしまうケースを何度か見てきました。

私自身も炎上経験こそないものの、Twitterは最盛期ほど書き込みはしていません。私のような一般人ですらひとたび炎上すれば大変ですから、書き込みをする際は自衛心がはたらき「これ書いちゃって大丈夫かな?」としばし考えてから送信します。気軽に呟きたいことを呟けるのがTwitterの醍醐味だというのに、内容にいちいち気を揉んで投稿するのがなんだか馬鹿らしくなった、というのが大きな理由です。

炎上を防ぐためにはどうすればいいのか

著者はズバリ「Twitterをやらないのが一番」と言い切っています。うーん、かなりストレートですね。まさに極論です。

確かに、IT企業以外の会社や芸能人など、ネットにめちゃくちゃ詳しいイメージがない人たちほどTwitterでよく炎上している気がします。特に企業は一度叩かれると、今度は一つ一つのツイートが炎上しないように細心の注意を払い、炎上防止のための会議を開いたりまでするそうです。著者は「そんな事に時間を割くなら、いい商品を作ることに時間を割けばいいのに…」と至極もっともな意見を述べています。

最近は公式 HPよりTwitterの情報発信の方が早かったりして、Twitterは宣伝ツールとしての役割を果たすようになりました。

もちろんネットに限らず、テレビのニュースキャスターのネクタイがちょっと歪んでいるからと言ってテレビ局に猛抗議の電話をする人がいるように、どこにでも炎上の機会を狙っている人はいるものです。

しかし安全圏からの攻撃が多いのは圧倒的にネットです。スマホの普及であらゆる世代がネットを自由に使えるようになった今、ツールとうまく付き合うための教育を学校や職場といった組織で再徹底する必要性を、この著書を読み改めて感じました。


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