ほんとうに、やめられる!? | [書評]読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー [セラピーシリーズ]
やめられるのか!?
いろんな禁煙本がでていますが、この禁煙セラピーはどこか「決定版」という感じで世の中にでてきた気がします。
まだタバコがいまほど高くはなくて、電子タバコや禁煙外来もありませんでした。にわかに禁煙ブームのようなものがでてきたときに、禁煙を流行ととらえるような安易な風潮に終止符を打つ、という意気込みを感じました。ちなみにこの本はアレン・カーの著作を阪本章子が翻訳したものです。原題は「ALLEN CARR’S EASY WAY TO STOP SMOKING」。アレン・カーの簡単なタバコのやめ方くらいに読めますが、内容はそんなにぬるくないとの訳者の意思表示でしょうか。
まるで、翻訳小説?
それでも、確かにこの本で禁煙したひとがけっこういたな、というのが当時の感覚です。
本屋でビジネスマン向けの教養書のコーナーにおかれていたような気がします。もちろんこの本を禁煙目的で読むのもおすすめですが、いまこの禁煙セラピーを読むなら、おすすめなのが、禁煙にまつわるアメリカ人的なオーバーリアクションを翻訳でよんでほしいです。
このラフな翻訳の具合もぜひ、味わって欲しいところです。
「これで自分は一生タバコを吸い続けることになる、こんなに努力しても失敗したのだから、もうやめられっこない」
そう思うと涙が出てきてしまったのです
アレン・カーを応援したくなる!!
冒頭の数ページを読めば「はたしてアレン・カーはタバコをやめられるだろうか」という本来とは別の興味からも読まずにはいられなくなります。
そこに書かれているのはタバコにまつわる壮絶エピソードの数々です。「これでもやめられなかった!!」という体験から、彼自身がタバコにとことん向き合ったその記録が書かれています。禁煙にあたって自分で色々考える代わりに、アレン・カーが考えてくれる、教えてくれるという形式です。
それでも、きっとやめられる。
この本のすごいところは、やめる為の具体的な方法はなにひとつ書いていない、というところでしょう。やめるというよりもタバコなんてそもそも最初から必要ない、というスタンスを最後までとり続けます。
そんな風にタバコを絶対悪としてとらえるのも、いまとなっては珍しい一冊です。