海戦を迫力ある人物・戦闘描写で描いた名作 | [書評]村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻
著者: 和田 竜
ISBN:4103068825 / 発売日:2013-10-22
出版社.: 新潮社

2014年本屋大賞です

私は、単行本で購入しましたが、これから読む方は文庫化されるようなのでそちらを待って購入しても良いでしょう。本書は、本屋大賞受賞作ですので、ご存知の方も多いと思います。

この本のポイントは下記の3点です。

・歴史好きなら一度は聞いたことがあるがそれほどメジャーでない村上水軍が主役
・主役が男に負けない強さの姫様 村上景
・海戦+陸戦の描写がとにかくリアル

あと個人的には、「木津川の戦い」というのが私の歴史の知識から抜け落ちていたので、一応押さえておかねばという理由もあります。

毛利軍勢は大阪本願寺を助けることができるか

単純には、織田信長に攻められた大阪本願寺が、毛利家に助けを求めて(主に兵糧の援助を求める)、毛利家が村上海賊(一般的には村上水軍)に協力を求め、毛利軍勢が大阪本願寺を助けることができるかどうかです。その中で、村上武吉の娘の景が苦しみながら激しく戦うことになります。

海戦ならではの戦術の妙が面白い

本書の量は、単行本で500ページ2巻で読み応えあります。巻の最初に全体地図、拡大地図がありますので、読みながら見ると良いです。

なぜ本書が面白いかというと、まず史実に基づいている、村上武吉の毛利家との駆け引き、景の大阪本願寺勢との交流、景と敵方の眞鍋七五三兵衛との関係と激しい戦闘、鉄砲傭兵雑賀党の鈴木孫市の活躍、海戦ならではの戦術の妙が読むものを惹きつけます。

戦闘シーンは、ちょっと引いてしまうぐらい激しさがあります。女を主役にしているからかもしれませんが、村上景めっちゃ強いので、周りの男どもが逃げ惑うのに少し快感を得るかもしれません。その中で、村上景と眞鍋七五三兵衛との白兵戦は、私がこれまでに読んだ歴史物の中では最も激しいものでした。そこまでやるかい!というぐらい。

最後に

歴史本ですので、結果は第一次木津川合戦の結果通りになります。まずは、あまり知られていないこの海戦を知って、その背景にあった織田信長、大阪本願寺、毛利家、村上水軍の関係などなどを知るだけでも歴史好きなら面白いです。私的には、白兵戦より海戦(船同士の戦い)が好きです。

村上海賊の娘 上巻
著者: 和田 竜
ISBN:4103068825 / 発売日:2013-10-22
出版社.: 新潮社

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