大前研一式「新しい市場を作りだす」為の発想法 | [書評]「0から1」の発想術
新しいスタンダード
新しいビジネスへの切り口として発想方法を取り上げて語るマーケティングや企業戦略の本です。マッキンゼー時代から培われた大前研一氏の様々な発想法を具体例を挙げるなど分かりやすく11に分けて解説されています。また、戦略の実践編として4つの「新しい市場を作りだす」という観点で語られています。
どの発想方法も、成功者をただ挙げて分析するだけではなく、今までになかった発想として取扱い、それらがスタンダードとして落とし込んでいるところがビジネス書として大いに有用だと感じました。
マーケティングのテクニックとしても
「固定費に対する限界利益の貢献の最大化」
経営にとって最も基本的なアプローチで、稼働率をあげて付加価値も高める。両立するためにはどういった手段があるかを解説されています。簡単な例としては、高価な専用の機械を導入しても操業度を高めることでしか固定費に対しての貢献ができない場合いかに稼働していない時間を減らすかが問題であり、その解決方法として繁忙のタイミングが異なる同業他社と提携してお互いに稼働率を補い合う方法が示されています。当たり前のことですが、それぞれの業界の中でしか考えることができない場合はそう言った発想に行きつかない例として興味深い内容です。
同業他社での連携が有効でない場合は、顧客をセグメンテーションすることや、期間限定および限定顧客への秘密のお得情報を流すなどのテクニックが解説されています。特に、日本ではあまり良しとされない「お客さんを選ぶ」や「相手を見て価格が変わる」など、世界的には当たり前のことがわかりやすく説明されています。優良顧客やロイヤルカスタマーに対しての優遇は当たり前に有効に利用していくことが必要だとわかりました。
時代の流れに合わせて
大前研一氏の1972年から経営コンサルタントとして経営や経済などの最先端で生きてきた技術を惜しみなく言語化しわかりやすく解説してくれている良書です。使い古した技術を発想方法としてそのまま使うのではなく、時代に合わせてどのように使ってきたかを11の観点から解説していくため、わかりやすくかつ実践向きだと感じます。
11の発想術のあとに、「感情移入」や「どんぶり勘定」などの実践型発想を使って新市場や新ビジネスを開拓した例を解説し、発想術を使える道具としての持ち方があります。自分のビジネス環境でも活かせるフォローもあり、至れり尽くせりな一冊だと感じました。