なんで | 本で出逢った感動の名言

容疑者Xの献身
著者: 東野 圭吾
ISBN:4167110121 / 発売日:2008-08-05
出版社.: 文藝春秋

本で出逢った名言・名セリフ

なんで

容疑者Xの献身 より

そのセリフに感銘を受けた理由

この作品は、天才湯川のガリレオシリーズの中でも特に全体的に暗さを感じる作品だと思います。作品中での季節感もあると思いますが、それぞれの登場人物像も相まってさらに暗さを感じます。まず、この作品の主人公とも言うべき一人の男性、石神という数学教師であり、天才数学者のこれまでの日々の生活の暗さも大きいです。そんな、淡々とした日々に小さなでも、暖かい光を与えたのが作品の重要な登場人物の母娘です。

この母娘の犯した罪に対し、力を貸すのがこの石神という男なのですが、最初は多少の好意を抱いていても、きっと、自分の天才的な頭脳を駆使して完全犯罪へと導いて楽しんでいる感じなのかと思って読み進めていましたが、まったくのお門違いでした。彼の彼女に対する想いの深さと暖かさゆえの献身さに感動しました。

犯罪を犯すことは許されることではありません。しかし、彼の想いを考えると簡単に責めることができず、また、彼のこの“なんで”の一言の重さ、自分の生涯をかけてこの母娘の犯した罪をかぶり守るという気持ちもどこかで揺らぎ崩れてしまうのではという不安をかかえていたのではと思うとさらに心を締め付けられ考えさせられる作品だと思います。

回答者:30代 女性

容疑者Xの献身
著者: 東野 圭吾
ISBN:4167110121 / 発売日:2008-08-05
出版社.: 文藝春秋

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