それが出来なかったことを、それがし生涯の悔いとしております | 本で出逢った感動の名言

蝉しぐれ (文春文庫)
著者: 藤沢 周平
ISBN:416719225X / 発売日:1991-07
出版社.: 文藝春秋

本で出逢った名言・名セリフ

それが出来なかったことを、それがし生涯の悔いとしております

蝉しぐれ より

そのセリフに感銘を受けた理由

「文四郎さんの御子が私の子で、私の子が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」というお福の言葉にやっと伝えられた文四郎の気持ちがひしひしと伝わってきます。身分はお福の方が上になってしまい、二人の間に壁のようなものを感じて読み進めましたが、この文四郎の一言で二人が昔の想い人同志に戻ったと感じました。

お福の「この世に悔いを持たぬ人などいない」という言葉に続く二人の空気感がじれったく、このまま一緒にずっといることが出来ない時代の背景に切なさを感じます。生涯の悔いであったお福と添い遂げることはできなかったが、肌を合わせてしまった後悔の最後の文四郎の言葉「あのひとの・・・白い胸など見なければよかった」という気持ちとの葛藤に引き込まれます。

お福の決意と文四郎の気持ちが悲しくて切なくなる気持ちに繋がる、全てを凝縮した言葉だと感じました。

回答者:40代 女性

蝉しぐれ (文春文庫)
著者: 藤沢 周平
ISBN:416719225X / 発売日:1991-07
出版社.: 文藝春秋

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