ゲームフルデザイン入門: つい夢中になるにはワケがある
「どうして、あのゲームには何時間も熱中しちゃうんだろう?」
「仕事や勉強も、ゲームみたいに楽しくできたらいいのに…」
そう思ったことはありませんか?
今回ご紹介する『ゲームフルデザイン入門 ―「ついやってしまう」体験のつくりかた―』は、そんな願いを叶えるためのヒントが詰まった、まさに「魔法の書」のような一冊でした。
この本が素晴らしいのは、よくある「ゲーミフィケーション」の誤解に、優しく、しかし的確にメスを入れてくれる点です。ポイントやバッジを付ければOK!という単純な話ではなく、もっと奥深い「つい夢中になってしまう体験」の作り方を、その根本から解き明かしてくれます。
その大切な土台となるのが、「自己決定理論」という心理学の考え方。人が本当にやる気になるのは、外からのご褒美のためではなく、「自分で選びたい(自律性)」「成長したい(有能感)」「誰かとつながりたい(関係性)」という内なる気持ちから。この考え方が全編を貫いているので、紹介される一つひとつのテクニックが「なるほど!」と腑に落ちるんです。
読み進めやすい構成も大きな魅力。前半でゲームフルデザインの考え方や心理学の基礎を学び、後半では架空のプロジェクトを通して、実際の導入ステップを丁寧にシミュレーションしてくれます。まるで隣で優秀なコンサルタントが伴走してくれるような、とても親切なガイドブックだと感じました。
「でも、自分の分野で本当に使えるの?」という心配も、豊富な事例を読めば吹き飛ぶはず。スターバックスのような有名企業から、語学学習のDuolingo、健康管理アプリ、さらには行政サービスまで!「こんなところにも応用できるんだ!」という驚きの連続で、きっと「これ、うちのプロジェクトで試してみよう!」と思えるアイデアが見つかりますよ。
そして何よりすごいのは、成功例だけでなく、失敗談や注意点にもしっかりとページを割いていること。「ポイント集めが目的になってしまった…」「ランキングが逆にやる気を削いでしまった…」といったリアルな失敗例から学べるのは、本当にありがたいです。
人の心に働きかけるパワフルな手法だからこそ、どうすれば使う人と社会をハッピーにできるのか?そんな大切な問いを、私たちに投げかけてくれます。
コラムとして収録されている「ゲームフルデザイン小史」も読み応え抜群。この分野が、50年以上にわたるたくさんの人たちの知恵と失敗の上に成り立っていることが分かり、なんだか胸が熱くなりました。
プロダクト開発に関わる人はもちろん、教育、人事、コミュニティ運営など、誰かの「やる気」を引き出したいと願うすべての人へ。この本は、あなたの仕事を、そして世界を見る目を、もっと面白く、もっとワクワクするものに変えてくれるはずです。