この小説はフィクションである。例えば歴史的に相当する人物がいても、それは単なる偶然の一致に過ぎない。 | 本で出逢った感動の名言
本で出逢った名言・名セリフ
この小説はフィクションである。例えば歴史的に相当する人物がいても、それは単なる偶然の一致に過ぎない。
不毛地帯 より
そのセリフに感銘を受けた理由
山崎豊子の代表作の一つ、「不毛地帯」はこの言葉から始まります。山崎豊子は毎日新聞の元記者。非常に丹念な取材を行なってから小説を書いているので、登場人物はほぼ実在人物です。もちろん主人公の壱岐正も、イトー◯の商社マン瀬島龍三がモデルです。
私が読んだところ、登場人物の人数は100人以上に上ると思います。確かな取材によって書かれたほぼドキュメンタリーと言えるこの作品は読むたびに現実的で、充実感を味わえます。壱岐正は過酷なシベリア抑留体験を乗り越えますが、昭和時代のし烈な経済競争社会へと送り込まれます。高度経済成長期の日本というのは平成の大不景気の中で生きている私たちにとって憧れの時代であります。
40代の私たちは、生まれる直前であり、定かには知らない時代、私たちは憧れますが、敗戦国だった日本は欧米諸国な遥かな遅れ、ハンディを背負ってスタートするのです。平成の大不況のこの現代に不毛地帯を読むことで、改めてこの不景気を乗り越えるためのヒントを得ることができるでしょう。とにかく昭和のにおいがプンプンと漂う作品なのです。
回答者:40代 女性
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