二大旅客機を比較して初めてわかる双方の素晴らしさ | [書評]図解・ボーイング787 vs. エアバスA380―新世代旅客機を徹底比較


乗りたいけれどまだ乗ってないので、本書で乗ったつもりになる

日本の航空会社ではおなじみの機体ボーイング787 (35%日本製のやつ)と、海外の航空会社ではおなじみのエアバスA380(あのでっかいやつ)について書かれた本です。ブルーバックスですので、技術的な比較が多いのですが、それ以外に乗客側の立場で比較した場合でも、「そうなんだ」と思わせることが多いです。

実際に乗ったことがある方も、どうやって作られているかはマニアしか知らないでしょう。本書は、マニア向けほどではありませんが、両機の素晴らしさを詳しく教えてくれます。個別に解説した本を購入するのもよろしいですが、私は本書のように比較した方が理解しやすいと感じました。

本書の構成

まず、787とA380の製造の歴史から始まります。A380の方が先に運行していますので、本書もA380の方が先です。787に日本の技術が使われていることは有名ですが、A380も部品納入に20社が参加しているそうです。

他の飛行機でも同じでしょうが、A380でも製造工程で色々問題があったことが詳しく書かれています。特に、A380の貨物専用型A380Fが製造遅れで結局開発中止になったことを初めて知りました。

787については、当初高速化を目指す機種として検討されていたことが書かれています。結局航空会社が、運航コストが高くなることを嫌がったので、高効率に転換したことが書かれています。最初から、A380の逆を狙ってはいなかったのですね。787の最初の発注元がANAである事は知られています。これをローンチ・カスタマー(最初の発注者)というそうです。

それぞれの開発の歴史の後に、技術の比較として、胴体、主翼とその動翼、尾翼とその動翼、機体フレーム使用素材、エンジンと燃料タンク、降着装置、飛行操縦装置、コクピット、そして客室について書かれています。

その後になぜか、ボーイングの新超大型機747-8とエアバスの新中型機A350XWBの開発経緯と概要が書かれています。お互い無い物ねだりなんでしょうか。

A380では、機内の騒音が極めて小さい

てっきり飛行機って、エンジンは一種類だと思ったのですが、A380も787も二種類(つまり開発企業が二社)あるんです。航空会社の要望に従って、客席数などはカスタマイズ可能なのは予想通りでした。A380は、3層構造ででっかいこともあり、最下層の貨物室は実際には余裕があるのだそうです。そこに客室乗務員用の休息スペースが用意できるそうです。また、787では、機内の気圧や湿度が改善されていることが具体的にグラフで示されています。

著者のレポートで、A380では、機内の騒音が極めて小さいことが書かれています。ノイズキャンセリングしなくても、音楽が聴けるんですかね?ちょっと前までは、座席についている機内ビデオ配信を見ようと思っても、エンジンの音がうるさ過ぎて音声が聞こえないなんて経験がありましたが。

面白そうなのは、A380

でかすぎるんじゃない?と思ったエアバスA380と、出だしで色々とトラブったボーイング787ですが、技術的な比較を読んでみると、どちらもいい飛行機だなあと思います。どちらも早く乗ってみたくなりました。でも面白そうなのは、A380でしょうね。端から端まで歩いてみたい。


あわせて読みたい