「人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ」 僕は何度か頭を振ってから緑の顔を見た。「たぶん僕の頭がわるいせいだと思うけど… | 本で出逢った感動の名言
本で出逢った名言・名セリフ
「人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ」 僕は何度か頭を振ってから緑の顔を見た。
「たぶん僕の頭がわるいせいだと思うけれど、ときどき君が何を言っているのかよく理解できないことがある」「ビスケットの缶にいろんなビスケットがつまってて、好きなのとあまり好きじゃないのがあるでしょ?それで先に好きなのどんどん食べちゃうと、あとあまり好きじゃないのばっかり残るわよね。私、辛いことがあるといつもそう思うのよ。今これをやっとくとあとになって楽になるって。人生はビスケットの缶なんだって」
「まあひとつの哲学ではあるな」
「でもそれ本当よ。私、経験的にそれを学んだもの」と緑は言った。
ノルウェイの森 より
そのセリフに感銘を受けた理由
昔、中学受験の追い込み時期で精神的に苦しかった時、その悩みを打ち明けた海外赴任の父から手紙が届きました。そこには、今回好きな言葉に取り上げた村上春樹著『ノルウェイの森』にあるビスケットの缶の下りが引用されていました。今は好きじゃないビスケットを食べているのかもしれないけれど、好きなものを後で食べる喜びはまた嬉しいものだと思うよ、どっちを食べるかは私の判断に任せるし、考えた結論を父は応援するよ、とありました。
小学生ながら、すっと心に響き、残りの受験勉強も幾度と無く、この言葉に励まされました。引用した小説自体も愛読書の1冊になり、その後も何か決断に迷った時や苦しい状況に陥った時、いつもこの言葉を思い出し、前に進んでいます。
回答者:30代 女性
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