鮎の娘さんのほうが、はるかにいいのだ、本当の令嬢だ、とも思うのだけれども、嗚呼、やはり私は俗人なのかも知れぬ、そのような… | 本で出逢った感動の名言

ろまん燈籠
著者: 太宰 治
ISBN:4101006172 / 発売日:1983-03-01
出版社.: 新潮社

本で出逢った名言・名セリフ

鮎の娘さんのほうが、はるかにいいのだ、本当の令嬢だ、とも思うのだけれども、嗚呼、やはり私は俗人なのかも知れぬ、そのような境遇の娘さんと、私の友人が結婚するというのならば、私は、頑固に反対するのである。

ろまん燈籠 より

そのセリフに感銘を受けた理由

ろまん燈籠の中の令嬢アユという作品です。主人公と友人は伊豆まで出かけ、河原で素敵な令嬢を見つけ釘付けになるのですが、結局その令嬢と思っていた人はカフェの女給で2人が思い描いていたような人ではなかったという内容です。

普通の話であれば、カフェの女給を、そこらの令嬢よりも彼女こそ本当の令嬢だといって綺麗に終わるのでしょうが、いい子だとはわかっていても心のどこかでカフェの女給はやはり嫌だなーと思っている正直な気持ちが表されていると思います。そしてそれは、世間一般の正直な気持ちなのではないかなと思っています。どんなにいい人や魅力的な人だとしても性を売り物にしている女性は社会から蔑視されていることが多く、そういった女性自身はおおらかでそういった社会のステータスなどは気にしない傾向にあるような気がします。

そういったことを盛り込んだこの文章が好きです。

回答者:30代 女性

ろまん燈籠
著者: 太宰 治
ISBN:4101006172 / 発売日:1983-03-01
出版社.: 新潮社

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