この本が出版された当時、私は海外に留学中でした。現地の男性とおつき合いして、同棲。友達もいるし、幸せなはずなのに、なんだかしっくり来ない日々を送っていました。現地の人達やその場所に溶け込んだつもりの私でしたが、「やっぱり所詮日本人なんだよな、私には帰る苦にがあるんだよな」と思っていました。そんなとき、この本が出版されたとのことで、日本から送ってもらいました。

元々作者の江國香織さんが好きだったのです。「ここは自分の居場所じゃない」と悩む主人公に語りかける大先輩の女性の一言がこれでした。その通りだ！と思いました。ズドンッと私の胸に刺さったのを覚えていますし、今でもやっぱり深く考えさせられます。

自分の居場所は、物理的に自分が今いる場所ではなくて、自分のことを思ってくれている人の心の中に存在するのだ、と。衝撃的でした。日本に帰国して１０年になりますが、私の居場所は日本以外にも、あります。

回答者：30代 女性

本で出逢った名言・名セリフ

人の居場所なんてね、誰かの胸の中にしかないのよ

冷静と情熱のあいだ rosso より