信頼される怒り方。アンガーマネジメントとは? | [書評]怒る技術

怒る技術
著者: 安藤 俊介
ISBN:4569800300 / 発売日:2011-10-21
出版社.: PHP研究所

苦手なことをしてストレスフリーになる

怒るのが苦手である。怒られるのも苦手である。

怒ったり怒られたりするのが大好きな人というのもなかなかにレアだから、自分はごく普通な方であろう。出来れば怒りたくないものである。

それにもかかわらず怒りという感情は突然やってくる。風やにわか雨のようにやってくる。そんな時、どうするか。抑え込むか、それに失敗するかの2通りしかないものだと思っていたが、どうやらそういうものではないらしい。その2通り以外にやれる事がいくつもある、らしい。怒るのは苦手だが、本書にはこう書かれている。

『軽いストレスを与えて自分はこういうことができるんだと思って訓練すると、ストレス耐性が強くなるのです。だから、あえて自分ではちょっと苦手なことをやってみるというのは、実はストレス耐性を強くするにはすごくいいことです。』

そういうことであれば、ちょっと怒る訓練でもしてみようか。

もっと怒っていい

そもそも怒りの感情がもし人間にとって不要であれば、生まれながらに備わっていないだろう。

怒りは自分を守り、生命を維持していくために必要な感情なのである。

だから、もっと怒ってもいいのだ。しかし、四六時中怒っているのは身体に悪い。オランダ医学会の報告によると、すぐ激昂して怒鳴る人の突然死の確率は、そうでない人よりも42%も高いという。怒りやすい人は血圧が高く、普通の人の約3倍も心臓疾患になりやすい。また、怒りやすい人は免疫機能が低下し、その結果老けやすくなるというから、踏んだりけったりだ。だからといって、怒りを抑え込みすぎるのも良くない。

では、一体どうすればいいのか。怒りは身体や人間関係を破壊しかねないほど強いエネルギーを持っているのだから、それを建設的に利用すればいいのだ。本書は、どうやれば怒りを上手に活かす事ができるのか、具体的、かつ詳細に書いている。実用的なのも不思議ではない。本書はアメリカでは米国郵便局や学校などの現場で数百万以上の人に学ばれているアンガーマネジメントをベースに書かれた本なのだ。

怒るテクニック

アンガーマネジメント、という言葉のうち、アンガーは『怒り』を意味する。

怒りをいつ、どのような量で表現するべきか、または表現しなくていいのか、という事をマネジメントするから、アンガーマネジメントという。

アメリカンフットボールのルーキーイヤーの選手たちには、このアンガーマネジメントの講習が義務づけられているそうだ。試合中にカッときて反則退場になったり、喧嘩して引退を余儀なくされれば、平均たった4年しかない選手生命を無にしてしまうからだ。

怒りは上手く使えばチームを活性化したり、生産性をあげたりする事にも貢献するという。怒りはモチベーションにもなるし、相手を受け入れながらも上手に怒る事ができる人は人間として、上司として、親として、友人として、信頼されやすい。

『怒るというのは、伝えたいことがいっぱいあるということ。怒ってしまう自分に自己嫌悪する必要などありません。』

ただ、信頼されるような怒り方を身につけるには、準備と練習が必要だ。

本書にはすぐに実行に移せる細かいテクニックの数々と、基本となる考え方の両方がまとめられているから、読み返しながら日々の生活に取り入れていくことができると思う。

怒る技術
著者: 安藤 俊介
ISBN:4569800300 / 発売日:2011-10-21
出版社.: PHP研究所

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