常識を取り払い豊かさを手に入れる。「豊か」ってなに? | [書評]まだ東京で消耗してるの? 環境を変えるだけで人生はうまくいく


東京はもはや人として生活できない地だ

著者のイケハヤ氏は炎上で有名なブロガーなので知っている人も多いだろう。

冒頭のページには朝の通勤ラッシュの風景、駅には人があふれんばかり。その写真には以下の文章が添えられている。

あなたは「自分の人生」を生きていますか?東京の住づらさ、働きにくさは日を増すごとに悪化しています。

首都圏は人口一極集中が止まらない。毎日の苦しい通勤ラッシュ、住居費の高騰、社会問題となった保育園待機児童問題等の社会問題が山積している。

正社員になれば長時間の残業を強いられ、非正規社員は低賃金で将来の不安におびえ生活している。特に生活に占める住居費の高さは貧困の一因だろう。仕事が続かず高い住居費を払えなくなればホームレスになる。賃貸物件も保証人がいない、高齢等の理由で借りられない。

これが人間らしい生き方なのか。常識とされていた働き方に対して著者は挑戦的な言葉でアンチテーゼを投げかける。

地方にはビジネスチャンスが眠っている

「田舎暮らし」というと「隠居」「資本主義からの離脱」というイメージがありますが、ぼくはむしろ逆だとおもうんですよ。(中略)お金を稼ぎたいなら田舎に行くべきなのです。

こう著者は述べる。田舎には仕事ないからね、よく言われる。田舎に会社は少ない、年収いくらで社員として働こうという人には仕事はないだろう。

しかし、自分で起業してビジネスを起こそうという気概があればいくらでもチャンスは眠っているという。

今はネットが発達しておりリモートワークで仕事をすることも可能だ。地方なら家賃、食費など生活費も安いのでアルバイトで生活することも可能だろう。前に里山資本主義というドキュメンタリーを見たことがある。ある地方で地元の女性が料理の飾りに山の葉を取って販売してビジネスにつなげたそうだ。

ないと思えば何もないけど、あると思えば何でもあるのかもしれない。

大切なことは自分の頭で考えて動くことだ。しかし日本の教育には決定的に欠けている。

画一化されたリクルートスーツを着て就職活動をしてるうちはだめだろう。

地方の本当に「豊か」な生活

「地方暮らしは超豊かである」という確信が日に日に強くなってきています。生活面でも地方は圧倒的に豊かなんですね。

この「豊か」とはどのようなことか。贅沢なブランド品を購入することなどではない。

日常生活での自然の恵みやストレスのかからない生活のことだ。

地方での住居費の安さ、食材の豊富さ、教育環境の良さについて紹介されている。特に住居費、光熱費は田舎では軽減されるだろう。水道も井戸水なら無料だ。

交通の便は東京のようにいかないが、例えば私の親も地方暮らしだが小型のマイクロバスが循環しており、高齢で車が無くても生活できる。

東京のコンクリートに閉じ込められた世界からは体験できない、地方では自然の恩恵により本当の「豊か」な生活ができるのだ。

常識という「縛り」捨てて地方から変革しよう

最後に著者はこのように結ぶ。

ぼくらは本来的に自由な存在なのです。国家も法律もある意味では幻想なのです。

さらに続けて

「私はここにいなくてはいけない、こうあらねばならない」という「縛り」を自分に与えるから犯罪が、自殺が、戦争が起きるのです。

と主張する。実にアナーキストな意見だ。では「こうあらねばならない」という「縛り」は誰に与えられたのか。

親の立派な会社に入って安定した生活をしてほしいという「縛り」、あるいは会社からのサービス残業してでも休出してでも仕事はやらねばならないという「縛り」。もはや古い世代の常識は捨てなければならない。著者のブログを見ると高知周辺にクリエイターが移住しているそうだ。

若者が東京を脱出し地方で新しい世界を創ることが人間を幸せにしない日本の社会を変革していくことにつながる。

そんな希望が感じられた一冊だ。私も東京で消耗するのもうやめにしたいと考えるようになった。

本書の最後に掲載されているの里山の棚田の写真は、日本の原風景のようでで本当に美しい。


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