アクチュエータってなに? 動力の不思議な世界 | [書評]アクチュエータ工学入門

アクチュエータ工学入門
著者: 鈴森 康一
ISBN:4062578735 / 発売日:2014-07-18
出版社.: 講談社

アクチュエータとは?

まず、この本はブルーバックスですので、自然科学(理工学、医学など)のコアなテーマについて詳しく解説されています。本書もその一冊です。

アクチュエータとは、本書の「はじめに」で以下のように述べられています。

アクチュエータ(actuator)とは、「動きや力」を生み出す装置の総称である。(中略)最も代表的なアクチュエータは「モータ」であろう。

私がこの本に注目したのは、アクチュエータの適用範囲の広さです。今では、アクチュエータ無しには、何にもできません。パソコンも、HDDに代表される多くのアクチュエータを使用していますので、この執筆自体できません。HDDでなくSSDで、ファンレスのノートPCならどうか?甘い!キーボードとマウスがアクチュエータのスイッチを使ってます。

驚くべきアクチュエータの事実

「第1章 現代社会を支えるアクチュエータ」に次のことが書かれています。

少々古いデータだが、国内で消費される電力の実に51%が、モータによって消費されているという調査結果がある。

調査は2003年に行われています。当時では、残り49%のうち、照明が17%、暖房が13%、その他が19%です。東日本大震災後は電力の効率利用も行われているので、現在と差異があるでしょう。いずれにしても、消費電力の半分がモータによって消費されていたというのは驚くべき事実でした。モータの効率を規制するルールや法律が世界的に策定されているそうです。

多種多様なアクチュエータ

本書には、超精密なものから、超強力なものまで多くのアクチュエータが登場します。それらについて、詳しく、しかし素人でもわかるように解説してありますう。これがブルーバックスの良いところですね。

一番メジャーで電磁モータとも言う電磁アクチュエータ、バカ力の油圧アクチュエータ、細胞の操作にも使われる精密な圧電アクチュエータ、静電気を使用する静電アクチュエータなどなど、多岐にわたります。第10章に本書で扱ったアクチュエータの一覧がありますので、それぞれの特徴がわかります。

最後に

この本のサブタイトルは「「動き」と「力」を生み出す驚異のメカニズム」です。面白いことに、瞬間的に動かなかったり、力を出さなかったりする状態のアクチュエータも登場します。

この本は、アクチュエータやモータに興味がなくても、それが現実世界でなくてはならないものになっており、未来においてそれらの発展が不可欠であることを教えてくれます。機械工学を勉強していなくても、多くのアクチュエータを現実に使用しており、それがどのように利用されているかを知ることは、頭の片隅にでも置いておくだけでも意味があると思います。

アクチュエータ工学入門
著者: 鈴森 康一
ISBN:4062578735 / 発売日:2014-07-18
出版社.: 講談社

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