ミャンマーが、なぜ一番ホットなビジネス市場なのか? | [書評]新聞では書かない、ミャンマーに世界が押し寄せる30の理由


アジアの「ラスト・フロンティア」ミャンマーという国

私自身、これまでミャンマーという国のイメージはかなり曖昧でした。「ネパールとタイを混ぜたような感じかな?」「政治家のアウン=サン=スーチーさん、とても頑張っているようだ」くらいの、ちょっと失礼なほどの無知っぷりでした。

この本には、ミャンマーに何十回と訪れたミャンマーを愛する著者が、ミャンマーの持つ無限の可能性、つまりビジネスチャンスが記されています。

ミャンマーは手付かずの自然、資源、人材に恵まれた宝庫

ミャンマーの魅力について語るとき、ある経済学者がこんな話をしていた。
「今のミャンマーは”1階にある上りのエスカレーター”です。乗っているだけで自然に上がっていきます。今の日本は”10階にある下りエスカレーター”ですね。上が無いばかりか、今の位置をキープするだけでも大変です。あなたはどちらに乗りたいですか?」

2011年、長きにわたる軍事政権が終焉を迎え、人々が自由な生き方を模索しはじめたミャンマー。

ミャンマーの魅力は、豊富に取れる天然ガス。ルビーやサファイアなど高級な宝石も世界一の産出量を誇ります。さらにビーチや森林は人の手がついておらず、自然のままの姿を晒しています。にもかかわらずこれまで世界から注目されなかったのは、言わずもがな軍事国家であったがゆえに、特にアメリカから強い経済制裁を受けてきたからなんです。

観光資源が豊富なミャンマーは、その手付かずな状態ゆえ、交通や水道、電気など、あらゆるインフラがずさんな整備のまま止まっており、誰も環境を整える人がいない。貴重うな価値を持て余している状態にとどまっています。

そこで今ミャンマーに目をつけているのが、中国、韓国、タイの企業です。この戦いに、日本も参戦しない訳にはいきません。未開の地を発展させる事で、東南アジアの貧しい一国として埋もれているミャンマーが、莫大な経済効果をもたらすことにつながるのですから。

余談になりますが、私が以前所属していたIT会社にも、社員の一人が単身ミャンマーに向かい、現地の若者の雇用促進に向けた技術支援をおこなっています。たまにお会いしますが、色は浅黒く焼け、どこからみても立派なミャンマー人になっていました(笑)。

期待が募る一方で、矛盾に近い懸念も

この先ミャンマーが発展すれば、東南アジアを代表する経済都市になれることは間違いないでしょう。しかし個人的に懸念しているのが、ミャンマーの「秘境」としての価値が下がってしまうことです。

軍事政権から解き放たれたばかりの、民主主義国としてはいわば赤子に近いミャンマー。そんなミャンマーへ集まる世界中の実業家たちが、ただミャンマーを自分たちのビジネスの食い物にしてしまうのはダメだと思います。ミャンマー人は真面目な仏教徒が多く、誇り高く、そしてとても純粋な国民ばかりです。

これからのミャンマー開拓ビジネスにおいて、ミャンマー国民が、より文化的で幸福な生き方をできるような関係を構築して欲しいと願うばかりです。


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