影がやること

カプコンのアクションゲーム「戦国BASARA３」の小説化シリーズの一作で、ファンならぜひ読んでいただきたい作品のひとつです。

ライトノベルや、真田幸村などが好きな人にはざっと背景だけつかんで読んでも面白いのではないかと思います。ゲーム主体であり、それが前提として描かれているので詳細なキャラ説明がないままどんどんキャラが登場するので、ライトノベルだけで考えると賛否が分かれるかもしれません。

主君がいる以上決して、主役として注目を浴びない。忍として影として生きることに徹している猿飛佐助の生き方や、考えを知ることのできるお話ではないかなと思います。

倒さなければならない敵

「いいか、命の重さは等しくないんだ・・・」

群雄割拠する戦国時代。

その中で、甲斐武田の信玄に使える武将・真田幸村。

日の本一のつわもの言われ、信玄に使えることだけを考えていた彼に転機が訪れる。

決して自分の前からいなくなることはないと思っていた、目標であり師である武田信玄が倒れた。

彼のあとを任された幸村とともに、ただの影として暗躍していた猿飛佐助にも転機となる。

悩む幸村のために情報を集めるために、諸国へと飛ぶ佐助。

そんな佐助を心配する幸村は、まだ城主としては未熟であり判断を誤ってしまう。

彼の影としての物語が語られる。

ひたすらに、

俺様の気が済むまで、と。

奥州・伊達政宗たちに敗れた真田。落ち込む悩む幸村を横目に、城の修繕などで忙しい佐助。

束の間の休憩で高い場所でふっと思いめぐらすのは、倒れる前に信玄に言われた忍である佐助が武田の副将になれという言葉。そして、同郷の忍でありいまは越後の上杉謙信に抜け忍となってまで使えることを決めたかすがのこと。

金で雇われていると、給料分の働きを返すという佐助と、心まで心底ささげているかすが。

東西に分かれて行く日の本全土の行く末を見つめながら、さまざまな人との逢瀬で佐助は、自身の進むべき道を決断していく。