二十歳の私は自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に耐え切れないで伊豆の旅に出て来ているのだった | 本で出逢った感動の名言
本で出逢った名言・名セリフ
二十歳の私は自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に耐え切れないで伊豆の旅に出て来ているのだった。
伊豆の踊子 より
そのセリフに感銘を受けた理由
私はこの主人公と自身の姿を重ねて読みました。私も、作者の川端康成ほどの苦境に立たされたことはなく、またこの主人公のいう「孤児根性」がどこから来ているのかはわかりませんが、私もある意味で「自分の性質が」「歪んでいる」と思って生きてきました。だから、踊子たちが「いい人ね」と言ったセリフで、なぜだか気持ちがふっと軽くなった気がしました。
私は自分の至らなさを日々痛感しており、どうにかしなくてはいけないと気を張って生きてきました。どうしても狭量で、意地っ張りで、人とうまくやっていけない部分が多々あり、そんな自分は悪い人間だと思ってきました。だけどもし、仮に誰かが「いい人ね」なんて言ってくれたら、この情けない自分の根性も変わってしまうと思います。
だから、このシーンが好きだし、この場面がこの作品の中でも好きなほうです。
回答者:20代 女性
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