学校教育や世論、また法律が、科学の進歩についていけないとき、科学者自身が率先して情報発信しなければならないと、彼らは考え… | 本で出逢った感動の名言


著者のアクセル・カーンは、経歴的には申し分のないエリートと言えるのですが、彼は父親の自死を体験し、離婚も体験し、そして、長い遺伝学者としての研究者生活の中で、同僚と交流し、身を持って、人間を体験しています。

日本の科学者から受ける印象は、妻が科学者である夫を守り、ひたすら研究に没頭させるという一面です。そうすると、科学の持つ可能性や、未来への夢の扉を開くという面では非常に貢献している我が国の科学者達ですが、現実世界との解離という感覚を持ち合わせている事実は否めないと思うのです。

そこへきて、この言葉は、そもそも、未来のための科学の進歩のために、科学者自らが現実の、言ってみれば、人間のくるしい内面と向き合っている、ことは非常に重要と思われます。さすが文化の成熟度の高いフランスと思わせる、安心させてくれる、表現です。

回答者:40代 女性

本で出逢った名言・名セリフ

学校教育や世論、また法律が、科学の進歩についていけないとき、科学者自身が率先して情報発信しなければならないと、彼らは考えているようだ。科学者が研究室に閉じこもり、社会との意志疎通がうまくいかないと、科学は倫理・道徳を逸脱する恐れがある。国民が判断材料もないままに、特定の科学技術の賛否を問われれば、大衆迎合型の政治に操作されるばかりで、最終的に社会の利益にはならない。これが、フランスの民主主義的科学思想の基盤である。

モラルのある人は、そんなことしない より


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