美しい景色は地獄だね。 | 本で出逢った感動の名言
主人公の悪友である柏木が言った言葉です。初めてこの作品を読んとき、この言葉には雷に打たれたような衝撃を受けたことを覚えています。当時私は高校生で、思春期真っ只中。学校生活の中でクラスの中で孤立し、読書に耽る毎日を送っていました。
心を開く友人もおらず、担任の先生との折り合いも悪かったため、学校に行くことが苦痛だと感じていました。それでも学校という場所が自分の唯一の「社会」であった当時は、逃げ場を持てなかったために、ただただその苦痛に耐えるしかありませんでした。
今振り返ってみますと、そういう時期もあったなぁ、という程度ですが、なんとなく日々に希望を持てず、毎日を楽しそうに過ごすクラスメイトが疎ましく、また羨ましくもありました。そのようにうがった見方で社会を見ていた私は、自分の中でこの柏木に相通じるものを感じていたのでしょう。
そして彼が放ったこの言葉に、ああ、まさに美しい景色(日々を楽しそうに生きているように見える他者の世界)は、地獄だな、とえらく感心したのだと思います。
回答者:20代 女性
本で出逢った名言・名セリフ
美しい景色は地獄だね。
金閣寺 より
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