文章には「わかりやすさ」よりも先に「ツヤ」が必要である。 | [書評]「読ませる」ための文章センスが身につく本

「読ませる」ための文章センスが身につく本
著者: 奥野 宣之
ISBN:4408110949 / 発売日:2014-10-31
出版社.: 実業之日本社

企画書や説明資料、メールなど、ビジネスの現場では文章を書かなければならない場面が頻繁にあります。そのような文章を作成するにあたって、まず第一に考えるべきことはなんでしょうか?

わかりやすい文章を書くこと?伝わる文章を書くこと?いいえ。それより先に考えなければならないことがあります。

それは「読んでもらうこと」です。なぜなら、読んでもらわなければ「伝わる」も「わかる」もないからです。

本記事で紹介する『「読ませる」ための文章センスが身につく本』の著者・奥野宣之さんは、読んでもらうための文章に必要なもの、それは「ツヤ」だと主張します。

「ツヤ」のある文章とは

著者は「ツヤ」のある文章に必要な要素について次のようなものを挙げています。

爽やかさを感じさせる文章の調子や、パッと見て抵抗なく入っていけるような文字の並び、何かあるんじゃないかと思わせる間の持たせ方、読んでよかったと思えるオチの納得感

これを見て、「ビジネス文書にそのような工夫が必要なのか?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

そのような疑問に対して筆者はこう断言しています。

「あり」です。新しいコンセプトを披露したい、お客さんにこちらの気持ちを伝えたい、就職や転職で少しでも有利な立場に立ちたい。そんなときの思考や表現において、人間は必ず言葉を扱わなければならないからです

確かに、言いたいことを伝えた上で人の心を動かすためには、ただ単にわかりやすい文章を書くだけではダメというのは納得のいく話ですね。

文章でもまず「つかむ」ことが必要

そんな「ツヤ」のある文章を書くにはどうすればいいのか。上記の著書の一部を紹介したいと思います。

どんな文章もまず「どのように読み始めてもらうか」を考えなければなりません。あなたが提出した書類を上司や取引先がパッと見たとき、「なんか面倒臭そうな文章だな」と思われてしまったら仕事の障害になります。

だから文章でも読み手を「つかむ」ことが必要です。本書ではつかみのテクニックについていくつか言及されてますが、その内の1つに「断定すること」があります。これによって、読む価値がありそうと思ってもらえる文章になるといいます。その理由について筆者は、「多くの人に、断定していいときにでも断定を避ける「癖」がついているから」といっています。

ご存じの通り、日本語の会話は、よく言えば婉曲的な、悪く言えば持って回った言い方が多い。だから頭に浮かんだ言い方をそのまま使って書いていくと、たいてい歯切れの悪い文章になってしまうのです

つまり、その分見慣れない断定調の文章を見ると、勢いがあって「価値のある文章」に見えるというのです。

確かに、文頭から遠回しな表現が使われていたら自信なさげで、「この文書は信頼できるのか?」と読み手を不安にしてしまいますね。

本書では上記の他にも、読み手を「つかむ」ためのテクニックがいくつか紹介されています。また、「つかむ」に続いて、「のせる」「転がす」「落とす」という計4つのステップで文章に「ツヤ」を出す方法が記載されています。

読ませるための文章センスを磨きたい方は是非手にとってみてください。

「読ませる」ための文章センスが身につく本
著者: 奥野 宣之
ISBN:4408110949 / 発売日:2014-10-31
出版社.: 実業之日本社

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