泣ける高校陸上部小説 | [書評]一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-


本屋大賞です

三部作の小説ですが、三冊を一冊にまとめた単行本もあります。
・第一部 イチニツイテ
・第ニ部 ヨーイ
・第三部 ドン

私は、最初試しに文庫本の第一部を買って、あまりに面白かったので、第二部、第三部と連発して買いました。

この本は、第4回(2007年)の本屋大賞受賞作です。ですので、この本を読んで、がっかりする人の確率はかなり低いです。本屋大賞受賞作でもがっかりしたことは、私はありますが。

コミック化も、テレビドラマ化もされたようですが、知らなかったので、私は見てません。でも、絶対小説の方が面白い!はず。。

男子陸上部の選手の3年間の思いが心を刺激する名作

主人公は、春野台高校の神谷新二という短距離選手です。100m,200m,4x100mリレー(4継),4x400Mリレー(マイル)を走ります。新二の一人称で物語は書かれています。新二は、高校一年時点で特別な才能を持っていたわけではありません。それが成長するにつれて…。

新二の親友、一ノ瀬連は、同じく短距離選手です。中学で実績を残した実力者ですが、ある理由から辞めてしまいます。しかし、新二や仲間に求められて、高校で陸上に復帰します。

スポ根ものには、絶対王者が必要です。鷲谷高校の仙波が同学年のスーパースターです。試合では、鬼になります。

新二の3年間の短距離選手としての時間を、読者は共有しながら、短距離とは、リレーとは、一ノ瀬との友情は、微妙な恋愛は、などなどに感情を持っていかれます。と同時に、短距離走、さらにリレーについて詳しくなれます。

一人よりは団体競技の方が燃える

物語には、100m、200mの個人競技も登場し、新二が理想とする連にどこまで近づけるかも面白いのですが、盛り上がるのはリレー、特に4継です。

スターがいるから強いとは限らない、第一走者はどういう気持ちか、最終走者は、バントンパスの怖さは、結果は4人の走者の力によって決まることを、作者は、リアルタイムに新二の心を文章化にすることで、読者を新二であったり、あるいは応援者の立場であったりにしてくれます。

最後に

陸上競技の短距離は、「走っている」だけではありません。苦しい練習、リレーなら素早いバトンパスやスタートのタイミング。いろいろな未知の要素(短距離未経験者の場合ですが)があって、面白いこと疑いなしです。

主人公の新二が、スポ根マンガによく出てくるものすごく変わった高校生(スラムダンクの桜木花道とか)と違って、一般的な高校生(髪型は変)なのがまた良いです。


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