まずは結論から!! 話はそれからだ。 | [書評]仕事が9割うまくいく雑談の技術 人見知りでも上手になれる会話のルール


身近にいる、人に伝えるのが下手な人

自分も含めてですが、人にものを伝えるのって難しいです。特に仕事では、情報を迅速に、かつ的確に伝えることは仕事全体の進捗を大きく左右しますよね。しかし、その伝え方が下手な人は、結構身近にいるものです。

私の職場には、ケアレスミスが多い主婦のパートさんがいました。彼女の提出したお客様情報に、一箇所空欄があったため、彼女にその理由を尋ねるとします。

「ここの記入欄ですけど、どうして空欄なんですか?」

すると彼女はまず、絶対に結論を話しません。

「それが、昨日こういうことがあって~、あっ、その時私は早番だったんですけど、お客さんの○○さんの電話をとってたら、急に部長が何か聞いてきて、その時パニクっちゃって、うんぬんかんぬん…」と、一向に結論が出てきません。辛抱強く聞いていると、彼女は結局「お客様に電話で聴取する確認事項を聞き漏らし、書き忘れたまま空欄で提出してしまった、というミスをした」という話でした。

ただこれだけを言ってくれたらすぐに対処できるのに、説明が冗長すぎて、要点は長話のほんの一部だけだったのです。

伝えるのが下手な人は、結論から話さない

まずこの本では、いくら仕事ができても、伝え方が下手だと意味がないという事を言っています。

上記の女性の例のように、友人同士のお茶会ならともかく、仕事で結論後回しの長話を毎回聞かされてはたまったものではありません。かくいう私も、何か上司に聞かれるとつい過程から説明してしまうことがあります。上司は相槌をうちながらも、「つまりは○○ということですね?」と、絶妙に結論を引き出して話をまとめてくれるので、私はそのたびに感謝アンド反省です。

仕事では、聞かれたことに対して、まずは結論を話す。理由や提案、自分の意見は必ず後回しにすることが大切なのです。

相手に提案する時の伝え方にも、テクニックがいる!

つまり、「伝える」とは、「とりあえず伝わった」だけではダメなのです。伝えることで相手に変化をもたらす、それも、自分がこうなってほしいと思った通りになる、あるいは、それに近い状態になれなければいけません。

聞かれた事に答える場合とは逆に、営業職やコンサル職のように、こちらから商品やサービスを提案するときも伝え方は重要だと思います。

たとえば簡単な例ですが、「このミネラルウォーター、美味しいですよ。一本いかがですか?」と進めると、相手には「イエスorノー」の選択肢しか出てこない。

ところが、「ここに国産のミネラルウォーターと、スイス生まれの新しいミネラルウォーターがあります。どちらか一本飲んでみませんか?」と聞くと、相手の選択肢は「国産のミネラルウォーターorスイス生まれの新しいミネラルウォーター」という二択になり、どちらかを選ぶ確率が大幅にアップします。聞かれた時、聞かせる時、どちらにも求められるのは伝える力だということがわかりました。

ベテランの社会人にとっては当たり前のことばかりだと思いますが、うまい伝え方のテクニックはあらゆる業界で通用すると思うので、社会人を迎える若い方にまずは一度読んでみて欲しい本だと思いました。ついでに、結論のでない長話がライフワークな、私の母親にもぜひ読んで欲しいところです(笑)。


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