“面白い=笑い”ではない。小林賢太郎が考える“面白い”モノとは | [書評]僕がコントや演劇のために考えていること


高校演劇への疑問 “面白い”の定義

私は高校時代、演劇部に所属していました。そこでは顧問が脚本を全て決め、それに従い作品を作っていました。結論から言うと、顧問が書く脚本って面白くないんですよね(笑)内容は顧問の実体験のつぎはぎでストーリー性はなく、登場人物も大半が教師が求める生徒像の押し付けで、当然ながら不満が募りました。そのため顧問とずっと喧嘩をしていました。私は“もっと面白いものが作りたい!”と抗議していたのですが一切聞く耳を持ってもらえませんでした。結局、私と顧問は和解することなく本番を向かえ、ひどい結果で大会を終えました。

高校卒業後、私は大学に通いながらアマチュアの演劇団体に所属しました。そこで大きな壁にぶち当たりました。1年目から大きな舞台の演出をしなければならなくなったのです。私は必死で演劇の勉強をしなければならなかたのです。そこで出会ったのがこの本でした。

「面白い」の領域は無限

私はこの一言にグッとひかれました。私が高校演劇で抱えていた不満がここにあったのです!小林賢太郎さんの“面白い”の定義が次のように書かれていました。

「かっこいい」も「かわいい」も、「快感」も「恐怖」も、「美しい」も「醜い」も、「不思議」も「わかりやすい」も、そして「笑い」も、みんなみんな「面白い」に入るのです

どうやら顧問は、面白い=笑いだと思っていたようなのです。私がやりたいと抗議していたのはこういう広い意味での「面白い」でした。意見が食い違うのは当然だったのだと、実感しました。私は“面白い”の定義を改めて知って顧問と和解し、任された舞台も成功に導くことができました。

小林賢太郎の考え方はこれだけじゃない!99の思考

実は今紹介したのは、小林賢太郎さんの考え方の一部でしかありません。小林賢太郎さんの独自の考え方はなんと全部で99個あります!中には、ご自身の作品の構造や、物事の見方、日本語の捉え方などさまざまなことが語られています。創作活動をしている人だけではなく、日常がちょっと楽しくなるような視点も満載なので、どんな人にも必見です!


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