完璧主義者を救済する、「ゆるく読んでほしい」本 | [書評]プレッシャーに負けない方法 ―「できるだけ完璧主義」のすすめ


「完璧主義」にふりまわされている人への愛情に満ちた本

「完璧主義」には良いイメージとともに、「こだわりがありすぎて融通が利かない」などのマイナスイメージもあります。私自身まさにこのタイプなのでその心情はよくわかります。このタイプの人に「適当にやればいい」というアドバイスはむしろ逆効果。「適当とはどのくらいなのか?そのやり方がわからないし、そもそも手を抜くことが嫌い」だという人も居て、今風に言えばまさに「面倒くさい人」。そんな風に言われて、へこんでいるあなたの肩を優しくたたいて、笑顔で丁寧にアドバイスをしてくれるような一冊です。

この本が本当に伝えたいこととは何か?

ざっくり言えば「無理をしないで、できることをやろう」ということが結論なのですが、この言葉だけを聞くと、世の中の完璧主義の方たちは、「そんなことくらい本を読まなくてもわかる!それができないから困っているのだ!」とお怒りになるかもしれません。

実際、私も読む前にはそう思っていました。しかし、読み終えると、これは読んでみる価値があると素直に思えたのです。つまりこの本は、目新しい完璧主義の手放し方を記した本ではありません。「完璧主義とは何か」や「余計な完璧主義を手放すメリット」などを解くことにより、余計な完璧主義を手放せないで困っている人たちが、手放してみてもいいかなと思えるように、考え方を変える手助けをしてくれる本なのです。

読み方までアドバイスしてくれる精神科目線の内容

さらに内容を掘り下げてみましょう。

著者は「完璧主義」を「マイナスの完璧主義」と「プラスの完璧主義」に分類しており、求めるのは後者であると語っています。「マイナスの完璧主義」の姿としては、一般的な姿として「仕事を人に任せられない」「家事に手抜きが出来ない」「自分のペースを乱す子供に当たり散らしてしまう」などのものもあれば、逆に「完璧を求めるあまりに一度つまずくと、その後何もできなくなる」といった完璧主義とは思えない姿として現れるものもあります。

自分の行動が実は「完璧主義」に起因していないか考えてみる必要もありそうですね。また、あとがきで著者はこう語っています。

「べき」として読むのではなく「こんなふうに生きていけたら楽だろうなあ」というくらいにゆるく読んでいただき、単に方向性を知り、できろうなところから少しずつ人生を「増し」なものにしていただければ何よりです。

精神科医でもある著者だけに、読む人の性格まで考慮したコメントであると言えると思います。自分は完璧主義だと思っているが、どうも居心地が悪くうまくいかないという方にぜひ読んでほしい一冊です。


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