サイゼリア流。新しい時代の飲食店マーケティングとは | [書評]おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ


客数とおいしさの関係

元理系の経営者のサイゼリア創業者が、自身の経営手法を数学的に切り口を入れて解説するマーケティングとしての一冊です。今では当たり前になっている、人時生産性の考え方がチェーン型飲食店にとてもわかりやすく取り入れることができるように詳しく説明されています。一人当たりが時間辺りに稼げるお金がレストラン業態の指標でそれを高めていくことが大事な経営であることが伺えます。

さらに面白いことが、「十分な利益を確保するには」の項であえて仕入れは価格よりも品質で選べとしています。料理の良し悪しは80%が食材で決まるという持論を基に、業者とは品質下限の取り決めの重要性を説いています。以前より味が落ちたと思われたら全てが終わってしまう。そんな面持ちで経営に携わっているそうです。

分析と経営

自分本位に物事を捉えてはいけない

経営はギャンブルではなく、勝算がなければいけない。そのためにはデータの取り扱いが重要で、数字だけではなくお客様の心理に関してもデータとして捉えなくてはならない。

一番わかりやすい指標として美味しいかどうかは客数で数値化できる。そういった客観性を拘りとしてもち、分析して結果を基に経営していくことの重要性を解説しています。個人の経営者にありがちな、主観で捉え自分の都合の良い解釈を繰り返すこと飲食店の危うさが分かります。

リーダーシップのありかた

リーダーとしてのありかたを経営者視点で解説しています。

まずは大きなビジョンを持つことの重要性を解説しています。ここでいうビジョンとは夢に近いものですが、大きい夢があればそれに向かって何をやるべきかが決まってくるし、バカみたいな素晴らしいことを言っていれば自ずと素晴らしい仲間が寄ってくる。人生観を持ってリーダーとはどんな人がなるべきかを書いています。

そして、店長や社長の仕事は「考えること」ときっぱり明言しています。どんなに仕事が忙しくても経営をする上では考え続けなくてはならないし、とにかく本気で考える人に人はついてくる。自らの経験が基なのでとても納得のできるような言葉でした。

自分に置き換えても明日から実行できるようなハウツーでもあり自己啓発でもあり、様々な視点を教えてくれる一冊です。


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