物語で理解する戦略のイロハ

コーヒーを題材にし、個性あふれるキャラクターたちの物語です。主人公のさくらがコーヒーにまつわる何人かの曲者たちと繋がって、コーヒーのメーカーを一つの戦略にのせていきます。全体の趣旨はマーケティングや商品戦略の話ですが、なぜそう考えるのかをキャラの主観に立って考える為、頭に入りやすいです。

物語そのものが面白いため、物語を理解しようと進めていくと結果的に商品戦略の勉強になる。そんなケースタディを一つの本にしたような感じでした。

最近のコーヒー事情であるサードウェーブに関しても考察気味に書かれているのでその部分だけでもある種の面白さを感じると思います。

実際にある例でわかりやすく解説

従来提供していた価値に「何を加え」「何を捨て」「何を増やし」「何を減らす」か。

話の中でドトールの戦略として、コーヒーの品質と価格を下げることで新規市場を開拓したという例を挙げます。商品の戦略として基本的なことですが、ドトールという成功している企業の例として挙げていることで非常にわかりやすくかつ身近なものだと納得できます。このほかにも、スターバックスや、上島珈琲など名だたる企業の戦略を簡単で身近にかみ砕いて説明することで、こういった戦略は極普通に行われていることだと理解できました。

面白いのは、創業者や社長は達成したい理念があり、それを実現するために市場に目をむけて、新しい市場を自ら作り上げているところだと思います。

物語としての面白さ教本としての面白さ

各章で様々な課題を与えられ、それを現実の企業に当てはめて考え、架空のプロジェクトを進めていく感じがとても小気味よいです。ちょっとしたドラマだと人間関係や恋愛感情などを絡めて人間臭さを出して、読みやすさと感情移入のしやすさがあります。そのおかげで、マーケティングの教本としてとても価値のあるものになっているように感じました。

特に、最後の大団円というか、プロジェクトの成功を描いた部分では主人公と一緒になって喜べましたし、主人公と自分の成長を感じることができました。物語としてもビジネス書としてもお勧めの一冊だと感じます。