逢えるが幸せか、不幸せか、所詮、人間のことは人間にはわからないような気がして、東吾は居間に戻った。 | 本で出逢った感動の名言

八丁堀の湯屋 <新装版> 御宿かわせみ
著者: 平岩 弓枝
ISBN:4167168987 / 発売日:2005-11-10
出版社.: 文藝春秋

本で出逢った名言・名セリフ

逢えるが幸せか、不幸せか、所詮、人間のことは人間にはわからないような気がして、東吾は居間に戻った。

八丁堀の湯屋 御宿かわせみ(16) より

そのセリフに感銘を受けた理由

御宿かわせみシリーズは、平岩弓枝先生の作品で、何回もテレビ化されているほど人気があります。読者の中には何回も毎日読み返しているという人もいるくらいです。人気の秘密はいろいろですが、そのひとつには主人公神林東吾、ヒロインのるい、その他のわき役の人情味あふれるキャラ設定にあると思います。

一話完結ものなのですが、この回は行方不明になった娘の孫だという女に危うく騙されかけた金持ちの商人の老人を、神林東吾、周りの人たちがいろいろ推理や探索をして助けるというものでした。しかし、最後に老人はこう言います。「-(省略)あれがどんな悪い女でもよろしゅうございました。お春が身近かにいて、手前に優しくしてくれて、手前はお春のまぼろしと一緒に暮らせたら、もうそれで充分だったのでございます。ですが、そのまぼろしはもう消えてしまいました。」

その言葉を聞いて、東吾はこう思います。孤独な老人が人生の終わりに漸くみつけたつかの間の春を、自分が苦労して消してしまったのかと…。そのあとで、また東吾が思ったことが、上のセリフです。確かに、何が幸せか、不幸せか、人間なってみなければわからない、なんだが深く人生について考えさせられました。

回答者:40代 女性

八丁堀の湯屋 <新装版> 御宿かわせみ
著者: 平岩 弓枝
ISBN:4167168987 / 発売日:2005-11-10
出版社.: 文藝春秋

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