10分で理解するAtomエディタ | [書評]Atom実践入門──進化し続けるハッカブルなエディタ


Atomエディタを笑うものはAtomエディタに泣く

プログラムの開発環境としては、JavaならEclipse,SwiftならXcodeのように統合開発環境(IDE)が整備されています。そのためプログラミングのために、テキストエディタを使用することは以前に比べて非常に少なくなっています。

しかしながら、IDEが整備されていないプログラミング言語や、テキストエディタでの開発にこだわりたいプログラマにとって、エディタは非常に重要なアイテムです。そして、一度そのエディタにハマるとなかなか抜け出せないものです。

最高のエディタは、人によりますが、私はEmacsだと思っています。なぜかというとキーボードのホームポジションから手首の位置を変えずに、すべてのことができるからです。マウスなんか触りたくない。カーソルキーなんて指がつります。

しかし、近年高機能なテキストエディタがフリー、または安価で登場しています。その一つが本書の解説するAtomです。本原稿もAtomで書いてます。Atomをまずは使ってみたい方には本書はオススメです。

本書の構成

大きくは、次のように分類できます。

1.基本的な使い方
2.オススメパッケージ
3.本格的カスタマイズ
4.テーマとパッケージの作成

EmacsもEmacs Lispプログラムにより、相当細かなカスタマイズが可能でした。Atomは、本書のタイトルに「ハッカブル」とあるように、非常にカスタマイザブルです。

もし、Atomを便利なテキストエディタとして使いたい方は、2.オススメパケージぐらいまで読まれると良いでしょう。そこからさらに突っ込んで、自分好みの、さらには他のユーザにも使って欲しいテーマやパッケージまで作ってしまう強者の方は、最後まで読まれると良いでしょう。それほど、本書の内容は充実しています。

Atomを理解する

前半は、Atomの使い方を理解することに重点が置かれています。ハッカブルというと、難しそうと思われるかもしれませんが、基本の使い方は難しくありません。

本書の狙い

本書の冒頭の「はじめに」で、著者は次のように述べています。

本書は、Atomの基本操作からさまざまな機能を追加するパッケージの利用、そしてパッケージの開発方法までを丁寧に解説した書籍です。

(中略)

標準でシンタックスハイライトや自動補完など豊富な機能を兼ね備えているAtomですが、最大の特徴は何と言ってもこのコミュニティとパッケージにあると言えます。

つまりは、Atomの豊富なハッカブルな機能を活用してもらいたいとともに、コミュニティを通して進化していく未来に期待して欲しいのだと思います。

本書は必要か?それともWebの情報で十分か?

前者だと考えます。AtomについてのWebの情報は、英語がメインであること、日本語の方は散発的であること、本書の内容がよくまとまっていることを考慮した結論です。ただし、少なくとも一回Atomを使ってみて、使えそうだったら、本書を買ってみてくださいね。Atomのコア機能を活用した、MicrosoftのVisual Studio Codeなど、新たなテキストエディタも登場していますので。


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