ただ歩くだけ。でも、その中でしか見つけられないものがある | 読むと旅に出かけたくなる本

夜のピクニック
著者: 恩田 陸
ISBN:4101234175 / 発売日:2006-09-07
出版社.: 新潮社

ただ歩くだけ。でも、その中でしか見つけられないものがある

夜のピクニック より

この本を読むと、「○○に行きたい」という目的地ありきの旅ではなく、体力の限界を超えて、眠気の限界を超えて、自分をとことん追い詰めてただ一歩一歩歩き通したいという気持ちになります。旅の目的地が目的なのではなく、旅の過程、一瞬一瞬、一歩一歩が目的の旅です。それは、楽しむためではなく、自分を見つめる旅なのだと思います。

この物語では、自分の気持ちに素直になれない、そもそも自分の気持ちが何なのかもわかっていない二人が、一緒に80キロという長い道のりをただひたすら歩くことで、自分の気持ちに素直になり、新たな関係を築いていきます。長距離をひたすらに歩くと、肉体的にも精神的にも疲れ切り、体が余計なことをしたがらなくなる。風景を見ること、話すこと、笑うこと、とりとめもなくいろいろなことを考えること。それら一切のことが億劫になります。そのような状況の中で、余分なもの、どうでもいいものがそぎ落とされた頭が考えることは、まさに自分にとって最も大切なことなのではないでしょうか。

そして、心もプライドや見栄といった鎧を脱ぎ捨てて、自分の本当の気持ちを見つけられるのではないかと思いました。私も自分を限界まで追い込んで、本当の自分の気持ち、自分にとって本当に大切なものを見つけてみたいです。

回答者:20代 女性

夜のピクニック
著者: 恩田 陸
ISBN:4101234175 / 発売日:2006-09-07
出版社.: 新潮社

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