ドナウ河に沿って文化・政治の異なる国を旅しつつ、人生について深く考えさせられる | 読むと旅に出かけたくなる本
ドナウ河に沿って文化・政治の異なる国を旅しつつ、人生について深く考えさせられる
ドナウの旅人(上・下) 宮本輝 より
ドナウ河を上流から下流へと辿りながら、様々な人の人生模様が描かれます。ベルリンの壁が崩れる前のヨーロッパを、実際の取材に基づいて描いているので、西側と東側世界ののコントラストも強烈な印象になって残ります。一本の河を辿るだけで、文化や政治体制の異なる様々な人の暮らしを垣間見れるというのは、島国である日本では体験できない旅であり、ヨーロッパ諸国を旅してみたくなります。
東西が分断されながらも、東側の政治体制の崩壊が予感される時代の小説なので、この物語を読んでから現代の東欧を巡ると、その後の人々の暮らしがどう変わったかを比較して、考えさせられることも多いかもしれません。上下巻で長い小説ではありますが、稀代の語り手、宮本輝によって書かれているので、長さを感じさせることなく、一気に読み進めることができます。
回答者:50代 女性
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