日常から非日常へと迷い込む不思議な旅、そして日常に回帰してからの安心感 | 読むと旅に出かけたくなる本
日常から非日常へと迷い込む不思議な旅、そして日常に回帰してからの安心感
老人と海 より
『老人と海』は、厳密に言うならば旅に出る作品ではない。海での老人の死闘が描かれる話である。サメに襲われたりして命からがら危機から抜け出し、日常へと帰り、老人は最後、夢を見る。ベッドで見るライオンの夢は、あるいは危険なものだったかもしれないが、夢である。いつでも老人は日常に回帰できる。
私がこの作品を読んで「出かけたい」と思ったのは、日常ではないどこかに迷い込むことである。老人がサメに追われるのは完全な偶然によるもので、彼が狙って行なったものではまったくない。何気なく取った行動で異世界のような体験が行える場所へといつしか迷い込んでしまう――それが私のあこがれる「旅」である。これはそんな気持ちを起こさせてくれる作品だ。
回答者:30代 女性
あわせて読みたい