持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない


この本は、現代社会でどう幸せを感じることができるのかを示すハウツー本です。

モノがあふれた現代社会で、「モノを過度に持たない」「お金を過度に持たない」という考え方は、よく目にするものです。モノや金銭への欲望を満たすだけでは心からの幸福を感じることは難しく、代わりに、精神的な安定を得られる「家族」や「自己実現」などを重視することで、心理上の幸福感を得ることが可能という理論です。
これはこれでわかりますが、この本は、さらに一歩踏み出しています。

心の幸せを得るために、「幸せな家族」や「やりがいのある仕事」「評価される自分」を実現しようとすると、ますます自分を追い詰める結果になることがあり得るため、いっそ、モノだけではなく、精神的な充足も求めないほうがいいのではないかという理論です。

とすると、いったい何で幸せを感じるのかというと、心が乱されない平穏な暮らしを淡々と送ることに幸せを見出すということのようです。

確かに、家族は時にわずらわしく、愛する人には愛さなかったり、仕事はトラブル続き、上司からの評価はイマイチというのが現実です。こうしたつらい現実を淡々と衛星に受け止めて、自分の安定を保つのは一手だとは思いますが、これで、「こころからの幸せ」を感じることができるのかどうかは、はなはだ疑問です。
幸せと不幸は隣り合わせですもんね。


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