お前は俺に似て、嘘が下手だ。 | 本で出逢った感動の名言

重力ピエロ
著者: 伊坂 幸太郎
ISBN:4101250235 / 発売日:2006-06-28
出版社.: 新潮社

本で出逢った名言・名セリフ

お前は俺に似て、嘘が下手だ。

重力ピエロ より

そのセリフに感銘を受けた理由

この小説の主人公、泉水は遺伝子を取り扱う会社に勤めているサラリーマンです。泉水の2つ下である弟の春は市内に描かれたグラフィティアート(落書き)を消すことを生業としています。二人は仲のいい兄弟ですが、実は異父兄弟であり、春は性犯罪の結果産まれたという暗い過去を背負っています。小説の中で泉水は放火事件とそれに伴うグラフィティアートの謎を追い、その真相をつかみます。

この言葉は事件が解決した後、兄弟が病床の父を見舞った時に、父が春に言った言葉です。たとえ血の繋がりが無くても、父には春の犯した罪、背負ってきたもの、春の思いがすべて分かっていたのでしょう。もしこれが「血が繋がっていなくても、お前は俺の息子だ」などという、ありふれた言葉であったなら私は感動しなかったでしょう。

息子を案じる父の気持ちが「俺に似て」という言葉にすべて集約されているように思えます。この父の言葉からは、綺麗事や口先だけの嘘を感じさせない、まっすぐで純粋な愛情が感じられます。

回答者:20代 女性

重力ピエロ
著者: 伊坂 幸太郎
ISBN:4101250235 / 発売日:2006-06-28
出版社.: 新潮社

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