西加奈子『サラバ！』をおすすめします。彼女の作品は長年読み続けていますが、ずっと初期の『さくら』がベストだと思い続けていました。しかし、本作『サラバ！』を読んでしまった今は、ついに『さくら』を凌駕した作品が現れたと確信しました。

上下巻あるため、かなり読みごたえはありますが、読み終えるのがこんなにも惜しく思える作品はなかなかないほど、噛み締めるようにじっくりと読み進めました。イラン生まれでエジプトでの子供時代を過ごした作者の経験が活きた本作は、主人公は男性ではありますが、作者の自伝的な小説だといっていいいのではないでしょうか。

だからこそ説得力があったのか、読後に言葉では表現できないほどの感動と、素晴らしい作品を読んだのだという充実感で満たされました。これからも新作が出るたびに西加奈子を追いかけなくてはとあらためて感じています。

回答者：40代 女性