【書評】柳宗元の詩「漁翁」をコールデコット賞画家が見事に表現している作品 | よあけ

よあけ
著者: ユリー・シュルヴィッツ
ISBN:4834005488 / 発売日:1977-06-25
出版社.: 福音館書店

しんと静まり返った、夜明け前の湖のほとり。おじいさんと孫が、毛布にくるまって寝ています。すると、一瞬さざ波が立ち、すべてが動きだします。コールデコット賞を受賞した画家が、夜明けのひとときを見事に表現しました。一場面一場面が心に焼き付く、大切に持っていたい写真集のような絵本。瀬田貞二の訳文も見事です。

そっと耳をすますように、ページをめくってみてください。詩のように美しい言葉に誘われ、息をのむような夜明けの瞬間に出会うことができます。この絵本のモチーフになっているのが、唐の詩人・柳宗元の詩「漁翁」。その世界を、ポーランド生まれのコールデコット賞画家が見事に表現しています。

時代の動きを確実に追跡する木曽路、馬籠宿。その本陣・問屋・庄屋をかねる家に生れ国学に心を傾けるものは偶然、江戸に旅し、念願のもの人となる。黒船来襲以来門人として運動への参加を願う心と旧家の仕事にはさまれ悩む半蔵の目前で歴史は移りかわっていく。著者が父をモデルに生きた典型を描くとともに自己を凝視した作品でした。

回答者:50代 男性

よあけ
著者: ユリー・シュルヴィッツ
ISBN:4834005488 / 発売日:1977-06-25
出版社.: 福音館書店

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