【書評】主観的な目線で、アウシュビッツの実情を学べる | アウシュビッツを志願した男


第二次世界大戦中のポーランド史やドイツ史を学びたく購入しました。内容はヴィクトル・ピレツキというポーランド将校(スパイ)の生涯をまとめたものですが、当時の歴史背景も知ることが出来ます。最初は、彼自身の人柄・性格・などに触れていきますが、徐々に具体的なスパイとしての行動を話す展開になっています。

タイトルにもあるように、アウシュビッツに自ら志願しスパイとして内部の情報を探り、実情を外部へ伝えるというのが、彼の主な任務になります。その中での、リアルな収容所での生活や内部構造など詳細に書かれています。スパイ作戦が水面下で進められ、脱獄するための準備を優秀な同志たちと進め、様々な困難を乗り越えていきます。

スパイ作戦が成功、脱獄し任務完了のはずが、国家体制ががらりと変わりピレツキは手のひらを返されたように戦犯扱いされます。そして彼の死後、「英雄」として、国中から賞賛されますが、戦犯扱いの裏付けとなるナチズム、スターリズムに対するポーランド国家の動き、残してしまった家族の苦悩、ピレツキのポーランドに対する深い愛国心を学ぶことができます。主観的な目線に近く、読めば読むほど興味が湧いてくる本だと思います。

回答者:10代 男性


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