仏教は宗教じゃなかったんだ | [書評]心がスーッとなるブッダの言葉


たまたま書店でふと目について手にとったこの文庫本、
最初に目次のページを開いたとき、ドキッとしました。

「人生に意味などない」

この強烈かつ不可解な言葉が目に飛び込んできたからです。

は?人生に意味はないの?うそでしょう?意味があるから誰も生きているんじゃないの・・?

私はこの本に何が書かれているのか無性に気になり購入して家に帰りました。そして一読してみました。すると、その内容がけっこう腑に落ちたのです。

仏教とはいえ全く宗教めいたところがなく、生き方のハウツー本とでもいいますか、とても論理的、科学的な感じなんですね。こうゆう仏教本は初めてでした。著者はスリランカ仏教界長老のアルボムッレ・スマナサーラさんという方です。

内容を少し紹介します。

・仏教は「宗教」ではない
迷信も信仰もない、お釈迦さまは「合理的、科学的」に物事を話した

・我々の認識は「妄想」に満ちている
その「妄想」はとても危険である

・「自分に正直」に生きてはいけない
「自分に正直」に生きるとは、欲・怒り・無知という悪感情に従って生きること

・人生に意味などない
人間はたまたま生まれてきただけ。そこに「意味」などない。

生きるというのは、単に母体から生まれてきた生物が、年をとって、徐々におとろえてゆき、ついには寿命をむかえて死んでいく、ただそれだけの話です。

ですから、生きること自体には意味などないのです。(略)俗世間で「生きる意味」とか「目的」とか呼ばれているものは、実際にはどれも単に、「生きているからやっていること」にすぎないのです。

生きているから働く、生きているから家に住む、生きているから人とつきあう。ただそれだけのことです。
そして金持ちも貧乏人も、みな最後は死にます。そこにも意味はありません。

人間関係はうまくいかないのがあたりまえ

・誰もが他者に迷惑をかけて生きている
・「答えのない問題」には悩まない
一部ですが、以上のような内容が書かれています。

仏教というと、日本では墓や葬式に関わること、というイメージがありますが、これは日本仏教がそうであるだけであって、2550年前にインドでお釈迦様がされたのは、墓の話でも葬式の話でもなく、「何事も客観的、論理的、科学的に、冷静によくよく観察して生きなさい」ということだったんですね。

この本に出会って初めてそのことを知りました。

皆が生き方に悩んでいます。

この本を一度読んでおくと、ふと助けられるときがあります。

肩の力が抜けます。


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