誠実さとビジネスは共存できるということ | [書評]ミッチェル・メイ・モデル

ミッチェル・メイ・モデル
著者: ミッチェル・メイ
ISBN:4899761120 / 発売日:2007-05-10
出版社.: ヴォイス

いわゆるスピリチャル本ではなく「誠実な」経営者の本として

今年の冬に体調を崩しかけていたときに、見つけた「ピュアシナジー」というサプリメント(これはサプリメントというより「食べ物」であると、開発者であり、この本の著者でもあるミッチェル・メイ氏は書いておられる)を摂り始めてから、それまでよりも気持ちが穏やかだなと感じて、身体もよく動くような感覚がありました。私淑する医師の方が、ブログで本書をリコメンドされていたこともあって、10年近く前に発売された本ですが、興味を頂いて読み始めました。

いわゆる「スピリチャル系」の本(本文にも「スピリチャル」という言葉が何度も出てきます)と捉えられてしまうかもしれませんが、それよりも読み終えて印象に残ったことは、著者の「誠実さ」でした。そして誠実さとビジネスは両立し得る、ということを実践されていることに希望のようなものを抱きました。

本書によると、彼は1950年に裕福なユダヤ系の家庭に生まれ、1960年代のアメリカでカウンタカルチャーの台頭した時代に青春時代を過ごしました。22歳のときにひどい交通事故に遭い、医師達から両足を切断することを求められたのですが、ある師との出会いにより、奇跡的に回復。そこから会社の経営者になるまでのいきさつや、経営者として会社を運営してゆくうえでのの考え方、実践されていることがインタビュー形式で書かれていて、読んでいると、目の前の著者から話を聞いているような感覚になります。

本書には、ビジネスや「ものづくり」に限らず、普通の日常を送るうえでのヒントのようなものが多く語られています。以下に少し引用を。

ミッションステートメントということ

ビジネスプランには、ミッションステートメント(会社の使命を宣言する文章)が必要です。そして、ミッションステートメントがすべての会社の活動を導かなければいけません。今日のビジネス界における最も深刻な問題の一つは、このミッションステートメントが、広報の材料というか、宣伝材料になっているということです。

これを読んだ際、ビジネスプランに限らず、何かを作ろうとするとき、また日常で何かアクションを起こす際にも、自分のなかの本来の「動機」と「目的」が重要であるのに、それが人に受けるためのものになっていたのでは、と自らを省みてはっとしました。

ビジネスでの「信頼」

昨今、これまで伏せられていた事柄が明るみにされるようなニュースが多い気がしますが、本書のなかにこんな一節があります。

信頼している人との間に問題(トラブル)が起きたなら、それは解決できます。でも、信頼していない相手との間にトラブルが起きたときに、解決できることはめったにありません。ビジネスにトラブルはつきものです。だからこそ、信頼というのは必要不可欠なんです。

これは日々の普通の生活を送るうえでも示唆に富む指摘、と感じました。

誠実さとビジネスは共存できるのであれば、誠実さと生きる充足感のようなものも共存できるのだと私は思うことができました。

ミッチェル・メイ・モデル
著者: ミッチェル・メイ
ISBN:4899761120 / 発売日:2007-05-10
出版社.: ヴォイス

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