【書評】救世主のおとぎ話。あなたも救世主になれる。 | イリュージョン
10代の終わり頃に、村上龍の翻訳で読みました。ジプシー飛行機乗りが、同じジプシー飛行機乗りと知り合い、彼が「僕は実は救世主なんだ」と言って、軽々と奇跡を起こします。男は彼から「救世主入門」という本をもらい、救世主になるための特訓を始めます。
「世の中のこそすべてがイリュージョン(幻影)なんだよ。君がそうだと思えばそれはそうなる」。童話のように読み進めることができ、2人の冒険にワクワクできます。ジョン・レノンの曲〈イマジン〉と同じような感覚で、「想像してごらん」と呼びかけられているようで、優しい文体が心に染みます。
ほろ苦いエンディングではありますが、読後感はさわやかです。後に別の翻訳で単行本が出版されましたが、エンディングそのものも違い、どちらが本当の訳なのかは分かりませんが、読む人にとってどちらがいいかはそれぞれです。この本を読んで以来「自分はこれでいいんだ」という肯定の気持ちを持つことができています。
回答者:50代 男性
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