【書評】人間の社会、倫理、感情がどれだけ複雑であるかが、肉を食べるという点から良く見える | ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関係


我々が普段何気なくしている「肉を食べる」ということについてを、菜食主義者や闘鶏が趣味の人まで様々な人の意見を踏まえ、多義的に説明しているとても良い本です。

保健所で安楽死させられる子猫をペットショップの蛇の餌にしても良いか?という問いや、鶏を闘わせる人々と食用の鶏を効率よく育てるため劣悪な環境に置くのはどちらがより酷いのか、人体実験の代わりに使われるマウスに多種多様な薬剤を注射したり体を切断しても問題はないのかといったあらゆる章において深く考えさせられる本です。

これらの多くの考え方について、人類動物学である著者は一つの立場から物事を書いていないという点も良かったです。人間の倫理、感情の機微で複雑な様相を論じていて食事について改めて考え直す機会が生まれ、動物に対しての知見が広がります。

回答者:20代 男性


あわせて読みたい