【書評】スクールカーストの本質を考えるのに最適な本 | 桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ
著者: 朝井 リョウ
ISBN:4087468178 / 発売日:2012-04-20
出版社.: 集英社

スクールカーストをテーマにした小説は数多くありますが、その中でも朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』は群を抜いて読みやすく、また後味の良い作品だと思います。

バレー部の桐島という男子生徒が部活をやめるといううわさをめぐって、同じ学校に通う5人の生徒たちそれぞれの視点で学校生活が描かれています。読み進めるうちに、この学校でランク付けされる生徒たちそれぞれの上下関係がわかってきます。

私はこの小説を読んだおかげで、人間関係についてとても勉強になったと思っています。この小説のすごいところは、それぞれ別々の立場の5人に対して、作者が誰に対しても肩入れしていない、一定の距離が生まれているというところ。だからそれぞれの章は一人称で書かれているけれど、誰に対してもほどよく距離のとれた書き方になっているので、残酷ともいえる校内の生徒たちの日常の描写をするする読むことができます。

まるで作者が本編に登場することのない「桐島」さながらに物語の中心に立って、その場所からコンパスで円を描いたように、スクールカーストの構図が見えてきます。

回答者:30代 女性

桐島、部活やめるってよ
著者: 朝井 リョウ
ISBN:4087468178 / 発売日:2012-04-20
出版社.: 集英社

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