勉強はできるが仕事ができない「残念な人」がなぜ増えているのか | [書評]残念な人の思考法

残念な人の思考法
著者: 山崎 将志
ISBN:4532196884 / 発売日:2013-06-04
出版社.: 日本経済新聞出版社

「残念な人は塗り絵ができない」のはなぜ?

この本の帯に描かれていたのが、お世辞にも上手とはいえないゾウの塗り絵です。「仕事ができない=残念な人は塗り絵が下手」というかなり斬新な定義付け。一体どういうことなんでしょうか?それが気になって、この本を手に取りました。

一般的に仕事が「できる」人の塗り絵は、まず塗り絵の枠を見て、パーツごとの形や色合いを分析し、全体の完成イメージを想像します。そして、納得した上で色鉛筆を取る。計画通りに考えた色を薄くサッと塗っていくだけで、あっという間に完成します。さらに外枠をあらかじめ囲むように塗っておくと、ハミ出しが目立たず、綺麗な塗り絵が出来上がるのです。

しかし、仕事が「できない」人は全体を見ることができず、とにかく目に付いた部分だけ(ゾウならゾウの耳)の色をひたすらこだわって塗り続け、計画性のない作品を何時間もかけて完成させるのです。たとえ自分では満足のいく出来だとしても、これを仕事に照らし合わせると、どちらが「できる人」かは明白でしょう。

人に仕事を頼めない人は段取りが悪い!

どうしたら効率的にできるかを考える。そのためのツールがないかと探す。知らないことは人に聞く。外に頼めることはお願いする。その際も相手の猶予が十分にある状況で依頼する。これらは、ビジネスパーソンの基本的な段取りである。

私も実は、人に仕事を頼むのが苦手です。一人であれこれやるより、みんなで一斉に取り掛かる方が早いのは明確。しかし私は自分が思っているほど、メンバーがどんな事を得意としていて、しかも彼らに今こっちを手伝ってくれる余裕があるのか、判断ができません。

その結果、無理やり仕事をお願いして「空気の読めない奴だ」と思われたくないばかりに、無理して自分だけで仕事を請け負ってしまうんです。ここは耳の痛い部分でした。結構、経験ある方って多いんじゃないでしょうか?

どうして残念な人が増えているのか

世の中がどんどん便利になっていく反面、「便利なものを作り出す人」と「便利なものを単純に使うだけのオペレーター」の二層化が、いわゆる残念な人を生み出している、と著者は説きます。つまり便利なシステムを生むほど、それに漫然と頼るだけで自ら考える力のない人が増えている、ということです。何とも皮肉な話です。

頭は良くても、それを仕事に使えない。効率の悪い塗り絵をするように、ただ一人で、目の前にあるものをなんとなくこなしていく…そんな「思考停止」状態に陥っている若者にはドキリとくる一冊だと思います。

残念な人の思考法
著者: 山崎 将志
ISBN:4532196884 / 発売日:2013-06-04
出版社.: 日本経済新聞出版社

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