幻の傑作ホラー長編 | [書評]ゴーストハント1 旧校舎怪談

ゴーストハント1 旧校舎怪談
著者: 小野 不由美
ISBN:4840135940 / 発売日:2010-11-19
出版社.: メディアファクトリー

幽霊はいるのか?いないのか?

十二国記や屍鬼など無数の名作を執筆している小野不由美先生の原点と言える作品のリライト版です。もともとは講談社のティーンズガール向けの文庫として書かれたものが、人気を受け再販となりました。

主人公の麻衣はどこにでもいるような普通の元気な高校生です。これまでオカルト現象にかかわることもなく過ごしてきましたが、進学した高校の旧校舎での出会いが彼女の人生を変えて行きます。

その始まりと言えるお話が、この旧校舎の怪談です。

くせものぞろい

「ゴーストハンターは霊能者じゃない」

谷山麻衣は放課後に仲良くなった同級生3人と怪談をしていた。ありきたりな怪談。試しているのは、話終わったあとに蝋燭をけし点呼を取ると増えているというもの。増えていれば、幽霊がきている。

そこに不意に参加してきた渋谷和也と名乗る青年は、転校生で怪談に興味があるという。翌日にまた怪談をする約束をして帰る麻衣たち。登校を早めにして怪談にでてきた旧校舎を見に行くと、そこには見慣れない機材が置いてあり興味をひかれた麻衣は中へ入る。

入ったあとに人の影に驚き、下駄箱を倒してしまった麻衣の前にまた渋谷が現れる。

そして、怪我をしてしまった人影の人物の代わりに麻衣に、助手になるようにと迫るのだ。彼が、校長に依頼されて旧校舎の階段を調べている心霊現象研究所の所長だという。

怪談をしたことをおこる同級生で霊感のある黒田。渋谷と同じく旧校舎の階段を調べに来た霊能者の面々。ギタリストで長髪の僧・滝沢、まるで巫女という言葉とかけ離れている巫女の綾子。間違った関西弁を話す異例の若さのエクソシストのジョン、テレビに出るほどの高校生霊媒・真砂子。

どれも個性の強い面々に囲まれながら、旧校舎の怪談の謎を解くために調査を始める。

霊を科学する

「たとえ単なるお話にしても、それが怖い怪談話にしても、ずーっと語り継ぐお話があるほうが楽しいもん。

  そういう学校のほうが、なんにも語り継ぐことのない学校より、ずっと楽しい感じがする」

個性豊かな霊能者たちの、心霊現象の元凶に関する考えは違っている。しかも我もつよい面々ぞろいのため、まったく協力するとか足並みをそろえるというふうもなくここに調査する。

そういいながらも、渋谷ーナルが作った心霊現象を調査するベースに全員が集まるのだが。心霊現象のまったくの素人である麻衣は周りからいろいろ教わりながら、それぞれの間を行ったり来たりする。巫女の綾子が除霊してみるが、失敗。ポルターガイストが起き、見に来ていた校長は怪我をしてしまう。ポルターガイストの定義も麻衣はそのとき初めて知る。

霊がいる、という前提で動く他の霊能者とちがいナルはマイクやカメラで情報を集めて行く。彼はまず疑っているのだ。この旧校舎に黒田が感じているという霊が、綾子が払おうとしているものが本当にいるのか、いないのかを。

ゴーストハント1 旧校舎怪談
著者: 小野 不由美
ISBN:4840135940 / 発売日:2010-11-19
出版社.: メディアファクトリー

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